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西日本建設新聞社
2016/02/08

【熊本】土木は「明るい」見通しゼロ 県建設業協会が初の会員アンケート

 8割の土木業者は受注が減少し、その7割は20%以上、今後の経営見通し「明るい」はゼロ――。熊本県建設業協会が実施した会員企業へのアンケートで業界の厳しい現状が浮き彫りになった。
 経済対策に伴う補正予算や災害復旧予算で一時好転していた経営環境が、平成27年度に入り再び厳しい状況になりつつあることから、会員の状況を把握し今後の協会活動や要望活動に活かそうと初めて調査した。
 設問は▽27年度の受注状況▽今後の経営環境▽県の入札制度▽発注者への要望―など6項目。27年11月から12月にかけて全協会員723社に調査を依頼し、267社(36・8%)から回答を得た。主となる許可業種別の割合は、土木76%(208社)、建築16%(41社)、舗装7%(10社)、その他1%。
 今回のアンケート結果について橋口光コ会長は「27年度の公共工事減少により経営状況が厳しいと聞こえていたが、予想以上の状況だ。特に土木で今後の経営見通しが「明るい」と答えた企業が1社もいないことに建設業の将来の厳しさを痛感している」と話す。
 協会では1月15日から2月1日まで12支部を回り、アンケート結果を報告するとともに、人口減少下での地域建設業者の将来像や入札制度などで意見を交わした。支部から出た要望については地域の実情を踏まえ、支部と地域振興局等との意見交換会で議論する。
 調査結果(抜粋)は次のとおり。
【3業種とも受注悪化、特に土木は7割以上が受注減少予測】
 受注状況については、26年度上半期と比べた27年度上半期を「増えた」「同程度」「減った」で聞いた。土木は「増えた」3・8%、「同程度」17・8%、「減った」78・3%。建築は「増えた」19・5%、「同程度」39・0%、「減った」41・5%。舗装は「増えた」20・0%、「同程度」20・0%、「減った」60・0%。建築と舗装に比べ、土木の減少が大きく、増減の割合も「減った」企業の7割が「20%以上減った」と答えている。
 26年度と比べた27年度の受注見込みで、「増加する」と回答したのは土木6%、建築20%、舗装22%にとどまり、「減少する」は土木74%、建築49%、舗装56%にのぼった。減少割合も3業種とも6割以上の企業が「20%以上減少する」と見込んでいる。

【「厳しい」経営環境見通し、土木は「明るい」なし】
 経営環境については、現況を「良好」「普通」「厳しい」「非常に厳しい」、見通しを「明るい」「普通」「厳しい」「非常に厳しい」にわけて聞いた。現況は土木の7割以上が「厳しい・非常に厳しい」となる一方、建築は7割以上が「良好・普通」と回答した。
 今後は3業種とも厳しい見通しを示しており、土木9割以上、舗装7割、建築6割弱が「厳しい」「非常に厳しい」と予測している。特に土木で「明るい」と答えた業者は1社もなかった。

【県の入札制度、「変える必要」最多は土木の発注標準額】
 県の入札制度については、現在の▽格付け業者数▽発注標準額▽振興局別地域区分―の三つを「適当である」「変えることが必要」の何れかを選んでもらった。格付け業者数と発注標準額で「変えることが必要」が多かったのは、土木の格付け業者数(6割)と発注標準額(7割)、建築と舗装は適当と変更がほぼ半数ずつだった。
 現行どおりを最も望んでいるのが振興局別の地域区分で、土木の8割、建築の7割、舗装の6割が「適当である」としている。

提供:西日本建設新聞社