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建通新聞社四国
2016/02/05

【香川】2件ともに事業継続は妥当 県公共事業評価委

 第4回香川県公共事業評価委員会(委員長・井原健雄香川大学教授)が1日、高松市内で開かれ、再評価対象4事業のうち、すでに再評価された2事業を除く社会資本整備総合交付金事業(防災・安全)通常砂防事業八ツ池南川(さぬき市志度)と、農山漁村整備地域整備交付金事業(大規模農道整備事業)西讃南部(観音寺市、三豊市)の2事業について詳細審議等を実施。両事業ともに継続とする県の対応方針を妥当と判断した。通常砂防事業八ツ池南川は事業採択後未着工のまま6年が経過、大規模農道整備西讃南部地区は、再評価後(2008年に再評価)7年が経過するなど、一定期間が経過している再評価の対象。
 八ツ池南川通常砂防事業は高さ7・5b、堰堤長46bの砂防堰堤1基と延長88bの流路工を建設する。事業採択年度は10年度、全体事業費1億5000万円を見込む。堰堤地点での計画流出土砂量5460立方bを、計画捕捉量3400立方bと計画抑制量2500立方bで止める。用地、工事ともに未着手。土砂災害警戒区域内で保全対象52戸、老人福祉施設(24時間滞在型、定員134人)1施設、病院1施設。
 評価委では現地調査等を踏まえ、事業目的の検証や費用対効果分析のほか、県が進めている境界確認の立会同意に向けた一部関係者との粘り強い交渉経緯などを審議。県の事業継続方針を妥当と判断した。「全国一律のマニュアルにとらわれず、当該箇所で実際に発生すると想定される被害を精査し住民や関係者に分かりやすく情報提供」するよう検討を求めた。また、「土砂災害警戒区域内に老人福祉施設等の災害時要援護者関連施設が存在するため、早急に事業が進捗するよう努力してほしい」とする意見なども加えられた。
 大規模農道整備事業西讃南部地区は1998年度に事業着手。2020年度の完了に向けて整備中。農道延長は14・69`。全幅8b(有効幅員6b)。受益面積4759f、総事業費は91億0100万円、14年度末までに64億8400万円を執行済み。道路工は全体の88%(12・93`)が完成。用地買収は延長ベース(13・6`)で93%の進捗率。残事業費が26億1700万円。県、三豊市、観音寺市の厳しい財政事情により大幅な事業費確保が困難なことから長期化。
 評価委では同事業の経緯や新たな費用効果分析項目に追加された災害防止効果や耕作放棄防止効果、交通事故減少に係る効果、多面的機能の発揮に関する効果などの評価とその成果を検討。15年度末で96%の用地買収進捗率、16年度末で全線の用地買収が完了する見通しに加え、道路工(財田・山本工区)で16年度から山本大型法面工事、17年度から財田道路工事と財田大型法面工事、18年度に山本河川内橋梁工事に着手し、同年度末までに完了する見通しなどを踏まえて検証した。
 また、柞田川橋梁工事を含む大野原工区で同橋梁工事と大野原道路工事に着手し20年度末までに完了する見通しなども評価。同事業の対応方針を継続とする県の判断を妥当とした。この中では「効果的な事業の進め方で早急に完成するよう努力を求める」、「過去の台風災害で大規模農道が土石流の被害を軽減するという副次的な効果が実際に発揮されており、防災上の効果を広く情報発信してほしい」―などとする意見も出された。

提供:建通新聞社