滋賀県は3日、36年国体の主会場となる(仮称)彦根総合運動公園第1種陸上競技場の第1回建築検討懇話会を開催した。建物の高さでは、彦根城の世界遺産登録への取組に配慮して抑え、スタジアム屋根先端部に照明設備を設置した場合、Jリーグの基準に対応できるかが課題となった。
新スタジアム計画によると、固定席1万5000席程度、芝生席含め2万人程度収容、施設面積約3万8000u、建築面積約1万8000u。メインスタンド、バックスタンドに固定席と屋根、サイドスタンドに芝生席を設ける。屋根形状は現在のところ、岡山県総合グラウンド陸上競技場のメインスタンド屋根を参考にしている。
彦根のスタジアムの高さはこれまで、一般的なスタジアムの高さ25〜30mよりも低い23m程度を検討してきたが、照明を競技面に行き渡らせるには照明設備の高さと屋根の高さを整合させる必要がある。
日本サッカー協会スタジアム標準の照明設備要件では、ピッチの中央からスタンド方向に向かって、水平に対して25度となるように設置することになっている。陸上競技場の場合は競技面中心線から同じく20〜30度を基準としている。
高さ23mの屋根先端部に照明設備を設置して、Jリーグ対応の25度を確保できるかが課題。照明柱を別途設置すると、高さの関係で景観に影響する。
他都市の事例では、既設改修において同要件の制約を受けていない事例があるほか、24年度に全面改築した長崎県立総合運動公園陸上競技場(2万0246席)は、彦根のケースと比べて全席固定席、全周屋根と条件が異なるが、高さがほぼ同じ約24mで、屋根先端の上部に照明設備を設置。J1基準に対応し、V・ファーレン長崎のホームスタジアムとなっている。
懇話会は判断材料として、照明設備に関する詳細なデータや情報等を提供するよう県に求めた。県は次回会合までに詳細なデータ等を集める。
建築検討懇話会は5月下旬までに、あと2回開き、景観および視点場からの眺望に配慮した施設整備、競技場デザインの方向性、基本設計に求める競技場の高さ・屋根材質等の諸元−について検討する。座長は松岡拓公雄滋賀県立大学教授、副座長は濱崎一志滋賀県立大学教授。