日本工業経済新聞社(群馬)
2016/02/04
【群馬】2016年度県予算案、公共事業は実質45億増
大澤正明知事は4日、2016年度当初予算案を発表した。一般会計の公共事業費は836億円を計上。当初予算ベースでは前年度から2・7%減らしたが、国の補正予算を活用した2月補正案と合算した実質額では920億円を確保。当初+国補正予算ベースでは前年度から45億円、5・2%増やした。大澤知事は「7つの交通軸を中心とする道路網整備など、社会基盤整備は引き続き計画的に進める必要がある」と語った。全ての県民が豊かに暮らせる社会の実現に向け「ぐんま創生予算」と銘打った。
当初予算案における公共事業費836億円のうち、補助公共が237億円、単独公共が599億円(交付金360億円、純単独239億円)。当初予算ベースでは、前年度比で補助公共が2・5%、単独公共が2・7%減少したが、その分を2月補正分で84億円を確保、底上げした形だ。7つの交通軸関連予算を前年度から増額したほか「災害に強い県土を築く防災・減災対策」という枠組みを設け、道路防災や治水対策、土砂災害対策にも集中的に取り組んでいく。
7つの交通軸には294億円を計上。国道17号上武道路や国道50号前橋笠懸道路、東毛広域幹線道路、西毛広域幹線道路、上信自動車道などに重点的に取り組む。新規で西毛広幹道の高崎安中工区と安中富岡工区、国道122号塩原工区などに着手する。また、上信自動車道では、渋川西バイパスの用地取得を進捗させるため、用地先行取得特別会計を活用して、県が国に代わって道路用地を取得する取り組みも始める。県が取得した土地は17〜20年度にかけて国に売却する。
「災害に強い県土を築く防災・減災対策」は、ゲリラ豪雨や台風などによる災害を未然に防止し、被害軽減を図るため、ハード・ソフト両面から総合的な防災・減災対策を推進し、安全・安心な県土づくりを進めるもの。昨年9月に発生した関東・東北豪雨による堤防決壊など、近年の大規模災害を踏まえ、緊急的かつ集中的な河川の堤防強化などに取り組んでいく。
特に河川や砂防に重点を置いており、128億円の予算のうち、治水対策に58億円、土砂災害対策に48億円を割いた。井野川(高崎市)の改修や西の沢(みなかみ町)の土石流対策などを実施する。
道路防災にも21億円を計上。災害時の避難・救助、物資輸送ルートの確保、中山間地集落の孤立防止、さらに昨年9月に発生した国道291号(みなかみ町)での土砂流出災害を踏まえ、流出土砂対策などにも緊急的に取り組んでいく。
高崎競馬場跡地に整備するコンベンション施設関連では、施設の基本設計を引き続き推進するとともに、1号スタンドなどの既存施設解体も4億円を投じて実施。また、施設建設に備え、年度ごとの費用負担の平準化を図る目的の基金に10億円を積み立てる。道路整備や雨水排水対策などの周辺整備には10億9100万円を計上した。
4日の記者会見で肝いりの事業を問われたのに対し、大澤知事が挙げたのが「沼田特別支援学校整備」と「県立高等学校空調設備整備」だ。
沼田特別支援学校では、沼田特別支援学校小中学部の教室不足を解消するため、小中高一体の新校舎を建設する。基本・実施設計費に9000万円、仮設校舎経費などに1100万円を計上。16年度に設計、17・18年度に工事、19年4月の開校を予定する。県立高等学校空調設備整備には6億4800万円を措置。空調が設置されていない県立高校38校の教室内に、段階的に空調設備を整備していく。
大澤知事は「障害者が将来に向かって安心して生きがいを持って生活するには、自立した生活ができるかが課題。そのために高等部をしっかり整備する」と特別支援学校高等部の未設置地域解消に意欲を示すとともに「群馬県は日本で一番暑いと言われているが、高校にエアコンが付いていない。3カ年計画で高校の教育環境整備に取り組む」と語った。
このほか、主な新規事業として◇スポーツクライミング施設整備◇敷島公園陸上競技場大規模改修◇富岡・甘楽地区新高校整備◇吾妻地区新高校整備−などに着手する。