東日本建設業保証福井支店は、着工時の前払金に加え工期半ばで請負代金の約2割を受注者に支払う中間前払金制度について、管内の建設業者を対象にアンケート調査を初めて実施した。それによると、制度を利用したことがあると回答した業者の割合は43%だった。
同調査は、改正品確法に基づき策定された「発注関係事務の運用に関する指針」において中間前払金制度の利用促進が求められている中、県内の現状を把握し、制度の普及促進に役立てるのが狙い。対象は福井県建設業協会の会員581社で、回答数は193社(回答率33・2%)。
利用した理由は、「資金繰りに役立つため」が77%で最も多く、「保証申込手続き(払出含む)が簡単なため」が30%、「保証料が借入金利より安いため」が29%。
利用して満足だった点(複数回答)は、「払出手続きが簡単」が46%、「保証申込手続が簡単」が45%、「認定手続きが簡単」が37%と続き、利用手続きの簡素さを評価する声が多かった。
また、利用して不満だった点は「認定手続きが複雑」と「発注者が制度をあまり理解していない」がともに15%。本来不要である現場での出来高検査について、「実施した」という回答が61%だったため、同支店では書類審査だけで手続きができる制度の特徴を、改めて発注者に説明し理解を求めていく方針。
一方、制度を利用したことがないと回答した業者の割合は57%。利用しなかった理由については、「自己資金で賄えるため」が50%、「発注者への申請手続きが面倒なため」が38%。「自己資金で賄えるため」利用しなかったという回答があったものの、制度が広く普及することを「希望する」と回答した業者が90%もあり、多くの業者が資金調達の選択肢が広がる同制度を必要としていることが分かった。
県内では敦賀市、大野市、坂井市、永平寺町、池田町、南越前町、越前町、美浜町、おおい町、若狭町の3市7町が制度を導入していない。近隣の石川、富山両県はすでに全自治体で導入済み。
同支店では、制度が業者の資金繰りなどに大きく貢献していることを踏まえ、業者がより利用しやすくなるように、これまで以上に利用手続きの簡素さをPRしていくとともに、引き続き地元建設業界と連携しながら、制度未導入の自治体に対し早期導入を働き掛けていくとしている。