大阪府建団連、建設産業専門団体(建専連)近畿地区連合会、国土交通省近畿地方整備局、建専連西日本ブロック連合会(中国、四国、九州)、関西職人育成一歩の会による合同意見交換会の中で行われたパネルディスカッションで、「いかに連携して人材確保・育成を図るか」について意見が相次いだ。
パネリストからは「仕事があったりなかったりが社会保険に入らない一番の理由」「若い人が入って3〜5年で離職せずに定着してもらうのが大きな課題」「下請けの指示待ち・指導待ちの姿勢が変わっていない」といった意見が出された。
コーディネーターを務めた古阪秀三京都大学教授は、@指示待ちの姿勢で仕事の平準化は無理A基幹技能者の活用に対する助成B一人親方の安全・品質に対してどう考えるか―の三つのポイントを提示。併せて、「建築の大部分を占める民間工事で、発注者が業界全体の平準化などを考慮に入れることはまずない」「設計で工程が全て決められている現状を見直し、ゼネコン、専門工事の現場の知恵を取り入れながら、標準化・効率化できることはまだまだあるはずだ」と指摘した。
パネリストからは、多能工化に向けた取り組みを一部ゼネコンで始めていることなども紹介された。
基幹技能者活用については、技能者が主任技術者などで活躍する仕組みづくりの検討を提示した。
社会保険未加入対策で危惧される一人親方の問題では、「民間発注者は、工事に対し労災や職人の技術を気にする」と古阪教授は説明。「労災適用がないなどの環境で、安全や品質確保を誰がどうするのかを考えねばならない」と指摘した上で、「情報交換などを通じ具体的な解決手法を導き出そう」と述べた。
パネリストは平田研一近畿地整建政部建設産業調整官、大林組大阪本店の松本和也建築事業部工事第一部長、竹中工務店大阪本店の西村博之調達部長、近畿建設躯体工業協同組合の山本正憲理事長、関西鉄筋工業協同組合の岩田正吾理事長、大阪府左官工業組合の桝谷祐之副理事長、近畿建設躯体工業協同組合の岡本征夫理事、大阪府塗装工業協同組合の竹林正浩副理事長。
合同意見交換会は大阪市内で開かれ、古阪教授の基調講演、平田建設産業調整官による国の施策紹介なども行われた。
提供:建通新聞社