福島建設工業新聞社
2016/01/29
【福島】「建設業の在り方」諮問/建設業審議会が初会合
震災復興後を見据えた本県建設産業の将来の在り方を検討するため、県は、県建設業審議会を再開。29日、福島市の杉妻会館で初会合を開き、将来の方向性や行政が取り組むべき施策について諮問した。県が議論の論点として@建設産業の技術力・経営力の強化A建設産業の担い手の育成・確保B社会資本の適切な維持管理・更新への対応−を提示。審議会は次回第2回会議から議論を本格化させる。審議会は今回を含め計6回開催予定で、夏ごろの第4回会議で中間とりまとめを行い、意見募集を経て秋ごろ答申のスケジュールを想定。答申を受けて県は、具体的な施策に反映させるためのアクションプランを年度内に策定する方針だ。
審議会は学識経験者、建設工事の需要者(発注者、利用者)、建設事業者の3分野、計15人で構成。会長に中村晋日本大学工学部教授を選んだ。
建設業審議会は県条例に基づき平成5年12月に設置。過去2度の議論を行っている。平成6年には一般競争入札や多様な入札方式について検討、前回(19、20年)は建設市場縮小下での県内建設産業の振興策などを議論した。
県内の建設投資は4年度の1兆7116億円をピークに、22年度はその35・9%の水準に減少。震災による復興需要で、投資額は持ち直しているものの、復興関連需要の収束で今後、投資額の再縮小は避けられない状況にある。
建設事業者数の減少とともに、就業者の年齢構成の山も50歳以上の高齢者層にシフトするなど高齢化の進行も著しく、危機管理産業としての地域建設業の存続が大きな課題として浮かんでいる。
このため今回は、建設需要の変化への対応や、改正公共工事品質確保促進法(品確保)など担い手3法を受けた中長期的な担い手確保などの視点も含め、今後の本県建設産業の在り方を議論、行政の取り組むべき施策を含めて答申してもらう。
県は審議会の開催に先立って26年度、各建設事務所単位で勉強会を開いており、ここでの現状・課題把握も踏まえて、諮問内容を整理した。
具体的な論点に、「建設産業の技術力・経営力の強化」として@不透明な将来への見通しA建設企業の縮小化、「建設産業の担い手の育成・確保」でB技術者・技能者不足C若手・女性の建設業就労者数の減少D建設業への理解不足、「社会資本の適切な維持管理・更新への対応」でE地域における建設業の維持F維持管理分野への対応−を挙げた。
初会合では畠利行副知事が「本県建設産業が直面する問題や将来に向けての課題について、議論をお願いしたい」とあいさつ、大河原聡土木部長が各委員に委嘱状を交付した。需要者側の委員からは「将来の不安も担い手の確保も、問題は年間を通した事業量の確保に行く着くのではないか」などの意見が出された。
審議会は4月予定の次回第2回と、その後の第3回で具体的な議論をし夏ごろの第4回で中間とりまとめを行って、この段階でパブリックコメントを実施する。第5回で答申案を審議した上で、秋ごろの第6回で答申の流れを見込んでいる。
この後、県は、答申内容を具体的な施策に落とし込むため、庁内連絡会議で検討。年度内のアクションプログラム策定を目指す。
会長以外の委員は次の通り(50音順)。
▽学識経験者=芥川一則(福島工業高等専門学校副校長・会長代理)、菅野浩司(県弁護士会)小松由美(福島学院大学副学長)高橋秀明(東日本建設業保証福島支店長)藤本典嗣(福島大学准教授)渡部弘志(県社会保険労務士会副会長)▽建設工事の需要者=菊地ミドリ(県消費者団体連絡協議会理事)小林清美(県婦人団体連合会長)馬場孝允(昭和村長)和合アヤ子(県商工会議所連合会理事)▽建設事業者=小野利廣(県建設産業団体連合会長)坂本幹夫(県総合設備協会長)野地武之(県建設業協会青年部会長)横山眞由美(横山建設工業代表取締役)