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建通新聞社(中部)
2016/02/05

【三重】伊賀国庁跡保存は最終案へ 伊賀市

 伊賀市は、坂之下に所在する「伊賀国庁跡」を史跡公園として整備・活用していくために公有化(土地取得)と「伊賀国庁跡保存整備活用基本計画」の最終案の取りまとめを行っている。2010年度から着手した公有化は15年12月までに、残る用地を全て取得した。同基本計画については15年8月に行った中間案のパブリックコメントを経て、3月までに成案を策定する。事業スケジュールでは、予算措置ができれば16年度から2年程度で基本・実施設計を進め、18年度以降の整備着手を目指す。
 伊賀国庁跡は、8〜11世紀の伊賀国の役所の跡で、坂之下の柘植川の右岸側の段丘上にある。全体面積は3万0586平方bで、宅地などを除く面積は2万6006平方b。現在は主に水田として利用されている。庁舎跡が残る遺構は、対象地区ほぼ中央の40b強四方の区画に正殿、前殿、脇殿、門、区画溝などが確認されている。09年度に国の史跡に指定され、これを受け同市が11年度に保存管理計画を策定し、14年度から整備活用基本計画の策定に着手した。基本設計では、基本計画を踏まえて、ゾーン別に史跡公園としての在り方を具体的に示していくことになる。
 同基本計画案では、区域の特徴や整備目的に合わせて、@遺構表示ゾーンAエントランスゾーンB歴史体験ゾーン―を配置している。遺構表示ゾーンでは正殿、前殿、脇殿などの中枢施設の遺構表示、柱跡の半立体表示を行い、エントランスゾーンは総合的な情報提供ゾーンとして東屋(あずまや)などを配置する。歴史体験ゾーンでは体験イベントなどを行うための多目的な空間整備、手洗い場、トイレなどの水回り施設などを整備する計画となっている。
 植栽・修景計画では、民有地との景観の遮蔽(しゃへい)、利活用計画と合わせた植栽を施す。
 概算工事費は試算で6億円弱とした。
 また、景観保存(バッファゾーン)を重視する観点から史跡周辺も計画対象地区とし、史跡と調和した景観整備を誘導していく。
 整備に当たっては、文化財保護法により指定された史跡などの保存と活用を図ることを目的とした文化庁の「歴史活き歴史活き!史跡等総合活用整備事業」などの国庫補助事業の活用を視野に入れながら協議を進めていく方針だ。

提供:建通新聞社