日本工業経済新聞社(茨城)
2016/01/27
【茨城】県土木部が鬼怒川緊急対策プロジェクトへの県内企業活用求める
県土木部は26日、国土交通省下館河川事務所に対し、鬼怒川緊急対策プロジェクトの実施にあたり県内企業の受注機会を確保するよう要望した。渡辺学県土木部長が経済・雇用対策や地元企業育成の観点から「県内建設・コンサルタント企業へ優先的な発注をお願いしたい」と求めたのに対し、伊藤芳則下館河川事務所長は「これから例年よりも相当多い案件を発注していくことになる。できるだけ地元の優秀な企業に受注していただくよう考えていく」と応じた。
関東・東北豪雨で甚大な被害を受けた鬼怒川下流域の再度災害を防止するため、国と県、沿川7市町が一体となって実施する「鬼怒川緊急対策プロジェクト」では、直轄事業による鬼怒川の堤防整備などに2020年度までの6年間、総額580億円が試算されている。この一環で昨年12月には、国土交通省が災害対策等緊急事業推進費を執行し、鬼怒川の河川激甚災害対策特別緊急事業に国費38億6900万円を充当している。
渡辺部長は要望書の中で「公共事業費の減少や新規入職者の減少など建設業界を取り巻く環境は非常に厳しい。県では、県内の経済対策、雇用対策、地元企業育成の観点から、県内建設企業などの受注確保に努めている」とした上で、「地域密着工事型総合評価方式の積極的な活用や、総合評価における企業の信頼性社会性項目(地域精通度、地域貢献度)の高配点化により、県内に本店を有する建設企業への受注機会を確保してほしい」と要望。同様に県内コンサル企業への優先的な発注や、県内の建設資機材の活用も求めた。
伊藤所長は発注方法について、「何件か本官契約になるものはあると思うが、できるだけ地元の優秀な企業に受注していただくよう考えていく」と述べ、地域密着工事型総合評価方式はもちろん、それ以外の方法についても検討していく意向を伝えた。
またプロジェクトの取り掛かりとなる激特事業の進捗について、「三坂町地区については発注済みで、若宮戸、前河原両地区も用地の調整が付けば速やかに発注していく。漏水対策についても早期発注に努める」と見通しを紹介。「今後は、例年よりも相当多い案件を発注していくことになる。6年間で、しっかりと遂行することが一番」と強調した。
事業の実施に際しては、300万立方mとも見込まれる大量の土砂の確保や用地取得が課題になるとみられる。伊藤所長は土砂について「河床の掘削土だけでは追いつかない。また性質上、そのまま使うことは難しいので、基本的にはブレンドし調整した上で使うことを考えており、この材料が必要になる。これを踏まえ、ストックヤードを複数箇所に設置することも考えている」と話し、渡辺土木部長は、用地取得を含め、県開発公社や土地開発公社を通じて、最大限支援・協力していく用意があることを伝えた。
なお、常総市三坂町の堤防決壊区間については本復旧工事がスタート。応急復旧を行った鹿島建設鰍ニ大成建設鰍ェそれぞれ上流側と下流側を担当し、渇水期中(5月末まで)の完了を目指していく。