トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

建設経済新聞社
2016/01/26

【京都】下水熱利用でマップを作成 鳥羽処理区対象に検討進む

 京都市上下水道局は、下水熱利用を積極的に推進するため、下水熱の量と存在位置を把握できるよう「下水熱ポテンシャルマップ」の作成を進めている。
 下水の水温は一年を通して比較的安定しており、大気の温度と比べ夏は低く、冬は高くなる特徴がある。この温度差エネルギー(下水熱)を冷暖房や給湯等に利用することで省エネや省CO2が期待されている。
 ただ下水熱ポテンシャルに関する情報が十分整理されておらず、事業化に至るまで多くの費用と時間がかかる状況を踏まえ、国土交通省は26年度に下水熱ポテンシャルマップを試行的に実施するモデル地区として、千葉県浦安市、愛知県豊田市、大阪府茨木市、神戸市、福岡市の5地区を選定し支援。27年4月に国土交通省と環境省が連携し民間事業者等による下水熱利用の推進のため積極的な取り組みを実施するよう事務連絡を行うなど下水熱ポテンシャルマップの作成を後押し。また27年5月には下水道法の一部改正で民間事業者が下水管渠内に熱交換器を設置することが可能になるなど法整備も一定進む。
 京都市上下水道局は26年度に鳥羽処理区で試行的に下水熱ポテンシャルマップについて検討。下水道台帳や過去の下水処理統計データをもとにした下水流量などを参考に、各マンホールにおける熱量を算出し、地図情報と統合。鳥羽水環境保全センター及び同吉祥院支所における下水熱ポテンシャルマップをまとめた。
 終末(鳥羽センター)で利用できる熱量を住宅の冷暖房等の熱負荷に換算すると、夏季で約11万世帯、冬季で約6万世帯の熱源に相当すると試算した。
 27年度は下水熱の実測調査を2ヵ所実施。試行的に検討した下水熱ポテンシャルマップの精度を検証。また下水熱利用の省エネ性や経済性について検討している。
 なお上下水道局は、26年度に京都市下水熱ポテンシャルマップ(広域マップ)作成業務をパシフィックコンサルタンツ、27年度に京都市下水熱ポテンシャルマップ(広域マップ)作成業務(その2)を中央復建コンサルタンツに委託し進めた。
      ◇
 滋賀県は昨年、積水化学・関西電力・日水コン共同研究体(積水化学工業梶A関西電力梶A鞄水コン)と「琵琶湖流域下水道管路を利用した下水熱利用に関する研究」について共同研究することを決定。全国初の流域下水道における下水熱の民間利用を目指している。
 県琵琶湖環境部は湖南中部処理区及び東北部処理区を対象とした下水熱ポテンシャルマップ(広域)作成を日本水工設計で進めている。