建通新聞社(神奈川)
2016/01/25
【神奈川】左近山団地中央地区 コンペでゲンクマガイ 来場者約170人も投票
横浜市旭区の左近山団地中央地区住宅管理組合(村上欣也理事長)は1月24日、左近山中学校体育館で「団地再生コンペティション2015」の2次審査を公開で行い、最優秀賞にスタジオ ゲン クマガイ(横浜市中区)が提案した「左近山団地をまるごと公園化」を選定した。T期整備地区の実施設計を同社に委託し、2016年度にも整備工事に着手する。工事費は5000万円以内。工事の発注方法など詳細は未定。
コンペでは左近山団地中央地区全体を対象に@外部空間改善の考え方Aコミュニティ活性化に資する空き家活用の考え方BT期整備地区の整備計画―の3点の提案を求め、スタジオ ゲン クマガイは、左近山全体をまるごと公園と考えてT期整備地区を再整備し、コミュニティーの活性化と子育て世代の流入促進を目指すことを提案した。
団地全体を回遊する「みちひろば」づくりを進め、中央広場を多くの人が集まる場所にするとともに、個性的なスポットを整備する。例えば「すべり台だけ」「ぶらんこだけ」と専門化した公園を配置したり、みちばた菜園・みちばた花壇を整備したり。
集会所については、一角をリノベーションして団地住民や近隣住民がものづくりを実践するDIY工房「ものづくりラボ」を設ける。工具や機械を導入、シェアし、団地内で使うベンチやテーブルをつくることを提案した。
ラボの運営や公園の管理は「左近山パークレンジャー」を組織し、活動を多世代間交流のきっかけにする。共有スペースに「左近山プレート」を敷くことで、どこでもピクニックができるようにするなど、公共スペースを「つい行きたくなる目的地」となるようつくり込む考えだ。
団地内の空き家についてはシェアスペースや左近山に体験宿泊するゲストルームなどとして活用する方向で、一括借り上げの組織づくりが課題とした。
審査委員長の大月敏雄東京大学大学院教授は「管理組合主催のコンペは全国でも初めてなのでは。コンペ自体にモデル性と先駆性があり、大変重要だ」と主催者、応募者双方を評価するとともに「ファイナンスや法制度など、ソフト領域の専門家と連携した提案があれば、より居住者の安心感が高まる」と注文。「今てこ入れしないと日本の団地は滅んでしまう。住民発意のコンペが増え、若者が参加して居住者とともに学び合い、仕事をつくり出したい」と総評した。
コンペには55チームがエントリーし、24チームが提案書を提出した。このうち2次審査に進んだのが9チーム。公開審査では各チームのプレゼンテーションを聞き、来場者約170人も全員が投票。投票結果を参考に、外部委員や地域委員による審査が行われた。
左近山団地中央地区は1967年に日本住宅公団(現UR都市機構)が建設を開始した。敷地面積は約11万7800平方bで、62棟・1300戸の分譲住宅がある。T期整備地区は敷地ほぼ中央の約2270平方bの範囲で、現在は子ども用プールや交通公園がある。団地再生の初弾事業としての位置付けだ。
提供:建通新聞社