和菓子の製造販売を手掛ける「赤福」(本店・伊勢市宇治中之切町26)は、伊勢市神薗町で伊勢市が所有する神薗工業団地に本社工場移転を主とした事業拡張のために進出する方針を決め、21日に伊勢市役所で同市との基本協定を締結した。同社の濱田勝子代表取締役社母兼社長、鈴木健一伊勢市長らが出席した。
同社は、同市朝熊町2015の本社工場の全面移転と併せて、工場周辺に分散する原材料の倉庫などの拠点施設を集約化させる計画。今回、対象の工業団地が未造成の段階であるため、進出計画の前提として同社側が地質・地盤や地下水のボーリング調査、取水・排水などの検討を行い、自社工場の建設が可能と判断できた段階で市側と本協定を締結し正式に進出を決定する。調査・検討にこれから着手するため、本協定の時期も未定としている。
同社側の計画では、用地、造成工事なども含め、総事業費約40億円を投入する。2017年4月に造成工事に着手し、19年7月の操業を目指す。新工場の規模は、全体面積のうち工場用地として使用できる面積などを踏まえて検討するものとしているが、朝熊町の現本社工場を上回る規模を想定している。本社工場の建屋は延べ約8000平方b。1977年に建設された。工場移転後の活用方法については、土地売却や現状施設の有効利用などが考えられるが、現時点では未定としている。
事業開発に当たっては、市側が整備する工業団地へのアクセス道路の整備費に充当してもらうために、同社側が3億8000万円を寄付する予定としている。
対象地区は、伊勢自動車道玉城インターチェンジから南東側へ約5`離れた地区で、県道伊勢南島線と県道玉城南勢線に沿った山林=写真。所在地は神薗町字見ノ越。購入は全区画の面積約9・4fが対象。鑑定評価額は1億0407万円。同工業団地は、1999年に伊勢市土地開発公社が土地を取得し、その後、進出企業が未決定で造成が成されず、15年に伊勢市へ所有権を移転した。
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建通新聞社