建通新聞社(東京)
2016/01/18
【東京】投資的経費が6・7%増 都の16年度予算原案
東京都は一般会計に前年度比0・8%増の7兆0110億円、このうち投資的経費に6・7%増の1兆0858億円を充てる2016年度予算原案を発表した。投資的経費が前年度を上回るのは12年連続で、20年オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向けた施設整備や、木造住宅密集地域の不燃化・耐震化や豪雨対策といった災害に強い都市づくり、都市機能を進化するための骨格幹線道路などのインフラ整備に財源を重点的に配分した。
特別会計は前年度比5・3%減の4兆4539億円、公営企業会計は同1・0%減の2兆1911億円で、一般会計を加えた全27会計の総額は前年度予算を1・5%下回る13兆6560億円の規模となっている。
16年度予算は「『世界一の都市』の実現に向けた取り組みを加速化・進化させ、力強く前進させる予算」と位置付け、@長期ビジョンで示した2020年とその先の将来像の実現に向けた積極的な施策展開A計画的・戦略的な政策展開を支えられる強固で弾力的な財政基盤の構築―の大きく二つの視点から編成した。
長期ビジョンに基づく施策展開では、史上最高のオリンピック・パラリンピックを実現させるため競技施設などの整備に532億円を充て、オリンピックアクアティクスセンターと有明アリーナ、海の森水上競技場の実施設計と工事を進めるとともに、カヌー・スラローム会場と大井ホッケー競技場、アーチェリー会場(夢の島公園)の新設に伴う設計作業などを進める。20年以降を見据えた取り組みとして、障害者スポーツセンター2カ所の改修などに58億円、道路や宿泊施設をはじめとしたバリアフリー化の推進に28億円の事業費を計上した。
大都市東京にふさわしい福祉施策では、高齢者の暮らしの支援として特別養護老人ホームの整備促進や空き家の有効活用を進めるために411億円を盛り込んだ。医療施設の整備には377億円を投入し、広尾病院を移転改築する他、首都災害医療センターの整備に向けた基本構想の策定や多摩メディカル・キャンパス全体の基本計画策定作業を開始する。
安全・安心を実感できる都市を実現するため、木造住宅密集地域の不燃化・耐震化に943億円を充て、延焼遮断帯の形成を重点的・集中的に進めるとともに、防災生活道路の整備や地区計画の策定といった区市の取り組みを支援する。緊急輸送道路の機能確保に伴う事業費は354億円で、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化や無電柱化を推進。607億円を計上した豪雨対策では、環状七号線地下広域調節池や野川大沢調節池などの整備に着手する。沿岸部や東部低地帯の津波・高潮対策については水門・排水機場や堤防の耐震化、内部護岸の整備を推進するための事業費として517億円を投じる。
都は1月中に復活財源200億円の用途も決定して予算案を固め、都議会に提案する。