産官学人材確保育成協 道守活用検討部会 道守活用方策の一環として提案 産官学連携建設業人材確保育成協議会の道守活用検討部会(議長・高橋和雄長崎大学名誉教授)は13日、道守の今後の活用方策を検討する一環として、インフラの包括的民間委託の導入について議論した。県建設業協会が全国の導入事例などを踏まえて提案したもので、県でも検討を進めているという。
道守は、長崎大学のインフラ長寿命化センターが中心となって2008年から養成。道路全体の維持管理・高度な技術開発ができる道守≠ゥら、近隣に住み構造物の異常に気付ける道守補助員≠ワで能力に応じて4コースあり、15年12月現在で計460人を認定している。昨年1月には国土交通省が社会資本を点検・診断する民間資格≠ニして、道守と特定道守、道守補を登録。さらに県の次期総合計画チャレンジ2020や国土強靭化地域計画でも、インフラを戦略的に維持管理・更新(老朽化対策)する施策の一つとして盛り込まれるなど、活用の機運が高まっている。
包括的民間委託での道守の活用はこの流れを踏まえたもの。道路や河川などの公共施設の維持管理を協同組合などに包括的に(複数年契約で)委託することで、▽民間の創意工夫の活用によるサービス向上、施設管理の効率化、維持管理コストの縮減▽災害対応や維持管理事業の担い手の確保▽破損・不都合箇所の早期発見・早期対応▽長期的展望に基づいた計画的な設備投資・人材確保(民間事業者)▽発注業務の効率化、契約更新の減少による業務の持続性確保▽民間事業者のノウハウ・データの構築によるサービス向上―といった効果が想定されている。既に、栃木県の日光土木事務所や北海道の大空町、奈良県道路公社で導入実績がある。
建設業協会では、人口減少が著しく、地域の維持管理・災害支援の担い手を持続的に確保育成するための対策が急務として、本県離島地域で同方式の試行導入を提案。効果の検証を求めた。県でも、同方式について検討を進めているという。具体的な内容については、次回以降の検討部会で報告・議論する。
長崎市 道守が配置技術者要件の設計・工事を試行へ 13日の検討部会では、長崎市の道守活用に向けた検討状況も報告された。同市では、橋梁補修や整備の設計業務委託、橋梁補修や改良工事の配置予定技術者の資格要件として、道守や特定道守(このほか、RCCMや上級土木技術者、土木鋼構造診断士、コンクリート構造診断士)を求める制限付一般競争入札の試行を16年度に計画しているという。
部会の委員からは、道守が点検・診断業務が中心で、施工の観点から養成されていなかったり、特定道守以上が所属するコンサルタントや建設業者が少ない現状を懸念する意見が出た。一方で、道守を資格要件にすることで、道守講座の受講者増、ひいては企業の技術力の底上げを期待する意見も出た。市側は、点検・診断技術者が担当することで品質確保につながるとの認識だ。
また養成する長崎大学側は、講座の受け入れ体制を拡充するほか、設計・施工を見据えたカリキュラムの充実についても取り組む意向を示した。