国土交通省がまとめている地籍調査の実施状況によると、2015年4月現在の全国平均(進捗率)が51%だったのに対し、関西地区は平均17・1%でワースト1位。府県別では京都府8%、大阪府10%の2府がワースト1、3位となった。調査が遅れている大阪府下の現状を見た。
大阪府下43市町村にみる進捗率は、茨木市65%、豊中市45%、四條畷市40%の3市がベスト3で、高い進捗を見せたものの、10%を超えたのはこれらの3市を含め8市1町だけ=表参照。一方、交野市、守口市、柏原市、忠岡町、熊取町、岬町、太子町、千早赤阪村、大阪狭山市の4市4町1村の進捗率は0%。このうち調査実施中としたのは岬町だけだった。
地籍調査は土地の所有者、地番などを調査(一筆調査など)し、境界の位置と面積を明確にするため、1951年から行われている。また、国は2010年度から一筆調査に先行し、権利関係の調整が容易とされる官民等境界先行調査(都市再生地籍調査事業)を実施。公有地と民有地の境界を明確にすることに取り組んでいる。ただ、調査には、地権者との調整が必要になることなどから、特に都市部ではかどらない状況がある。
津波や土砂災害で家屋が流された場合のスムーズな復旧や復興に必要不可欠な地籍調査。阪神・淡路大震災や東日本大震災では、調査できていない土地が住宅・インフラ復旧の妨げとなったことを振り返れば、南海トラフ巨大地震の発生が迫る関西、大阪府にあっては、ハード整備と共に、急がれる備えと言える。
提供:建通新聞社