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建通新聞社(東京)
2016/01/14

【東京】都財務局 土木設計で内訳書提出義務付け

 東京都財務局は、局発注の土木設計の入札参加者に内訳書の提出を義務付けるとともに、社会保険労務士による特別調査の対象を局発注の全工事に拡大する取り組みを開始した。いわゆる担い手3法を踏まえた対応の一環として、競争入札案件の土木設計の適正価格での契約と品質確保を目指す他、下請け事業者を含めた社会保険の加入状況や法令順守の状況を確認して労働条件・環境の改善につなげることを狙う。
 土木設計での内訳書の提出は、同局が発注する予定価格2000万円以上の案件で試行する。入札契約適正化法の改正で、公共工事の入札参加者に入札金額の内訳書の提出が義務付けられたことを踏まえ、その対象を設計業務の一部にも拡大。見積書の提出の際、電子調達システムの添付機能を使って積算内訳書(総括表―直接人件費、直接経費、その他原価、一般管理費等)を提出することを求める。書式については案件ごとに入札参加者に通知する。採用(落札)候補者は種別内訳書も提出することとし、提出されなかった場合は採用者としない。
 土木設計を含む都の工事系委託については、調査基準価格や最低制限価格を設けていない。建設局が中心となって総合評価方式の採用を拡大しているものの、価格競争による案件が多くを占めているのが実情だ。予定価格を非公表としているものの、低価格による応札も依然として見られるという。都では今回の試行を通じて事業者のより適切な積算を促し、最低基準価格や調査基準価格の設定に向けた検討の材料としていく考えだ。
 一方、社労士を活用した調査は、改正品確法の趣旨を踏まえ「低入札価格調査対象工事に関する特別調査」として14年度に始めた取り組みを拡大する。法令順守の観点に加え、担い手の確保・育成につなげるため、財務局が発注する全ての工事を対象に位置付け、その中から調査する工事を選定する。
 受注者である元請け事業者と下請け事業者に対して労働条件や労働環境(労働基準法に基づく法令順守の状況など)、社会保険の加入状況を社労士が確認する。調査の実施時期については、現場が本格的に動き出す4月以降となる見通しだ。
 都は15年10月に開かれた都議会財政委員会の中で、14年度に土木工事のみ3件で実施した調査を、15年度は電気設備工事と空調設備工事にも拡大し、土木2件と各設備1件の計4件で実施すると説明。併せて下請け事業者の調査対象を増やすとともに、現場担当者へのヒアリングや記録の確認などにより詳細な労働条件・環境を調べる考えを示していた。