伊賀市は、摺見町、市部町などの「上野南部丘陵地」を対象にした民間主導型の工業団地の開発を計画している。同事業を支援する窓口として1月1日付で建設部都市計画課内に新たに「産業集積開発室」を設置し、2015年度から造成・開発・販売を手掛けるデベロッパーの誘致に乗り出し、対象区域の調整に着手する考えだ。
上野南部丘陵地は、ゆめが丘の上野新都市「ゆめぽりす伊賀」の南部から近鉄大阪線までの約2000fの広大な山林区域で、過去には民間による大規模リゾート開発事業が計画されたが断念した経緯もある。市では、関西圏と中部圏の中間に位置し、高規格道路の将来計画も含めて両圏へのアクセスの優位性を生かした土地活用に向けて、05年度から調査・検討を行った。さらに具体化させるために、08年2月には区域内の大規模土地所有者(近鉄、森永製菓)、三重県、伊賀市などをメンバーとする「伊賀市上野南部丘陵地整備推進協議会」を発足し、整備手法の調査や企業ニーズ調査など事業化の可能性を検討していた。
市側は、内陸における新たな産業用地「ゆめぽりす伊賀」で操業済み企業の業務拡張用地などの需要を見込んだ企業誘致を実現させるため、公的支援として、アクセス道路や水道などの公共インフラを整備するものとした。
同協議会では、対象地区内で南北をつなぐ市道として整備する「市道ゆめが丘摺見線」(延長3500b、幅員12b)をアクセス道路として利用する計画を作成し、市道沿いの100f規模の地区を開発の最優先エリアとし、さらに、その中で、ゆめが丘地区から約1000bの距離にある約20fを開発優先エリアの「A地区」とし、開発を先行させる。その後に、広域農道交差部の手前付近のエリアを次の優先エリア「B地区」(20f)として設定し、段階的な整備を行う案を示した。案に沿って、「ゆめぽりす伊賀」内の市道四十九ゆめが丘線の南端部と広域農道〈コリドールロード〉を結ぶ市道ゆめが丘摺見線の整備に08年度から着手し、16年度の完成に向けて、現在、コリドールロード交差部から北側に向けて工事を進めている=写真。
今後は、市が15年度から開発業者を誘致し、16年度以降に大口権利者と開発事業者を結び付け、開発事業者が進める工業団地整備に伴う造成や開発の諸手続きを支援する。県側にも、開発サポート、企業誘致などの協力を求める。順調に進めば、18年度に造成工事の完了を目指す意向だ。
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建通新聞社