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日刊建設タイムズ社
2016/01/13

【千葉】今年こそ災害一桁へ/小澤・千葉労働局長に最小更新の決意/建災防幹部が新年あいさつ

 建設業労働災害防止協会千葉県支部の尾頭博行支部長をはじめ、内山弘通副支部長、櫻井勝治副支部長、柴田一敏副支部長、岩田丈副支部長、神田公司・専務理事の三役は12日、新年のあいさつとして千葉労働局(小澤真一局長)を訪ねた。あいさつに引き続き行われた会談では、2015年の建設業における労働災害発生状況の分析や、今後の労災防止に向けた双方の取り組みを確認。千葉労働局が昨年12月31日現在でまとめた2015年の労働災害発生状況(速報値)によると、建設業の死亡災害は14件で4年振りに減少。前年に比べて11件減少した。内訳は、土木工事業7件(対前年比2件増)、建築工事業5件(同4件減)、その他の建設業2件(同7件減)。建災防千葉県支部では今年こそ、県内建設業の死亡災害について、史上最少を記録した2011年の11件を超える「一桁」を目指す。
  ◇4年振りに減少も後半失速
 4年振りに大幅に減少した県内建設業の労働死亡災害について「増加以前の年の水準に戻ったようだが」との小澤局長の言葉に対し、尾頭支部長は「前半の滑り出しは良い成績で、これまでの最少記録を塗り替えそうな勢いだったが、夏場の8月に6件の災害が集中し、記録更新には及ばなかった」と猛省。「会員と非会員との内訳は」との小澤局長の問いかけに対しては、神田専務理事が「会員事業場の災害は14件のうち6件で、昨年よりも3件少ないが、これまで年間3件前後で推移していたことを考慮すると、減少率は鈍いと言わざるを得ない」と説明。
 ◇伐木対策で調査
 事故の内訳として「伐木の作業時のものが多かった気がする」とした小澤局長は、さらに「私も小さい木を伐木したが、意に反し枝ぶりの良い方に木が倒れて、危うく災難に遭うところであり、(伐木は)難しいものだということが分かった」と述べるとともに「伐木をはじめ、防げる災害は何としても防ぐという気概が必要だ」と呼びかけた。
 尾頭支部長は、昨年集中した伐木の死亡災害(4件)の対応として「何故、伐木の事故が多いのかを調査したところ、これまで農林関係が行っていた仕事に、土木が携わることになったことが挙げられる」とし「経験不足も一つの要因なのでは」と指摘。これに対して小澤局長は、自身の経験も踏まえて「理屈で分かっている話と実際に行ってみた話の違いをはじめ、坂道が多い現場での避難経路の確保とルートを確定する判断が大事になる」と強調。
 ◇平準化発注で人手不足と経営対応を
 一方で「人手不足感は一段落したのか」との小澤局長の問いかけに対しては、内山副支部長が「特殊作業員をはじめ普通作業員も足りない。これに加えて来年4月からの社会保険等の全面加入となると、入りたくても入れないなどの理由から、人材不足が加速する恐れもある」との危機感を示した。加えて「最低でも400万円程度の日給月給を確保しなければ、将来的にも入職者の増加は望めないと思う」と指摘し「公共予算を使って後世に残るものを造るという本来は魅力ある業界だが、まずは報酬があり、ものづくりの面白さを教えることにより次世代が入って来るのでは」との考えを示した。
 「これからはインフラストックの時代となることから、仕事の全体量は減らないと思う」との見通しを示した小澤局長は「災害件数が減り、女性が働ける現場になれば、イメージ的にも良くなるだろう。大手ゼネコンによる『女性目線』は大きく進歩しており、我々がパトロールなどで訪問すると、最近では『女性のスタッフが点検に来ている』などの話をよく聞く」と紹介。
 これに対して内山副支部長は「会社の経営が成り立つような業界にしないと、減りはしないが請け負った金額が合わなければ成り立たない。労務単価や資材単価が上がっている今は、現状に合わせた設定をして頂かなければならない」と指摘。ただ「工事を平準化発注して頂くことで、会社の経営も多少は緩和されると思う」とし「会計年度を3月で切らないで通年の予算化を行えば、業界も人手不足に対応して経営が成り立ってくるのでは」との見解を示した。
 ◇永田県土整備部長の言葉を胸に
 建災防について内山副支部長は「業界では知られているが、一般国民に対しては公共であれ民間であれ、労働災害撲滅を目指している団体であるということをもう少しアピールしないといけない」と強調。それには「(災害件数が)『昨年よりも今年は少なく、来年はさらに少なく』としていかなければ意味がない。生前の永田・県土整備部長の話にもあったように、災害が増えるということは『存在がないのと同じである』となる。一般に対してもっと建災防の存在をアピールする必要がある」と訴えた。
 これらを踏まえて尾頭支部長は「現実的には会員外の災害発生件数が多いことから、底辺まで建災防の存在を周知する必要がある。それぞれの立場における意識がまだ薄いということは否めない。すべての建設事業場が入会してレクチャーを受けることが出来れば、労働災害は確実に減ると思う」と指摘。
 最後に小澤局長が「好む好まざるに関わらず、今の議論をみていると、今後5年間は外国人労働者の数が増えると思う」と指摘。「彼らに対しての安全面における教育にも業界を挙げて取り組んで頂きたい」と要請し、会談を終えた。 
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