鹿児島建設新聞
2016/01/13
【鹿児島】桜島大爆発に備え防災訓練、建設業の役割、次世代へ
鹿児島市と県の主催による桜島の大爆発を想定した総合防災訓練が12日、同市の桜島溶岩グラウンドであった。建設業を含む156の機関・団体や地域住民など約4500人が参加。有事の際の連携や応急対策の在り方を確認したほか、高校生を交えた訓練も行い、次世代に対する防災力の継承を図った。
訓練は、桜島の大爆発や鹿児島湾を震源とする震度6強の地震が発生したことを想定して実施。昨年8月に噴火警戒レベルが引き上げられた際の対応も踏まえ、各面から実践的な取り組みが行われた。
■建協鹿児島支部 重機管理システムを初試行
今回で5回目の参加となった県建設業協会鹿児島支部(川畑俊彦支部長)は、毎月定期的に実施しているデジタル無線での情報伝達訓練に加え、緊急災害速報サービスを備えたIP無線機も初試行。電波が届きにくいエリアを補完する観点から、万一の備えを充実させた。
ASPサービスを活用した訓練では、被災状況の情報共有に加え、今回新たに重機管理システムや安否確認の機能なども設け、その使い方を確認した。
東京都でも導入済みという重機管理システムは、重機本体に張り付けたバーコードを読み取って、保管場所の位置情報や台数などを地図上に表示。被災場所に近い場所からいち早く重機を送り出せるメリットがあり、行政機関との連携も期待されるシステムとなっている。
このほか会場では、ドローンによる空撮と3次元の地形可視化技術のデモンストレーションや防災グッズ(エアバッグ式の救急担架、災害用トイレ、非常食など)の展示コーナーも設置。参加者の関心を集めた。
川畑支部長は「大切なのは、この取り組みを会員企業の末端まで共有していくこと。新たに試行したシステムについては検証を重ね、より実効性の高い仕組みをつくっていきたい」と話した。
■鹿工高生徒が訓練体験 「経験役立てたい」
県建設業協会鹿児島支部の訓練には、鹿児島工業高校の建設技術系2年の生徒約40人が参加。6班でローテーションしながら、土のうの製作=写真=や釜段工を体験したほか、無線機の使い方、ASPシステムによる情報共有の仕組みなども学んだ。
終了後は、レインボー桜島で意見交換会も実施。生徒からは「身近で災害が起こったとき、この経験をぜひ役立てたい」「連絡手段にもいろいろな方法があることが分かった」などの声が上がった。
災害対策・桜島防災小委員会の永田雄一委員長は「訓練を通じて、災害時の対応はもとより、建設業が地域に果たす役割も理解してもらえたら。この経験をこれからの就職にも生かしてほしい」とエールを送った。
■県港湾漁港建設協会 ロープワークを指導
県港湾漁港建設協会(米盛庄一郎会長)は、4班にエリア分けして港湾施設の被災状況パトロールなどを実施。デジタル無線やスカイプを活用し、本部との情報共有を図ったほか、支援船舶の連絡体制についても確認した。
建協鹿児島支部と連携して行った鹿児島工業高校生を交えての訓練では、救命胴衣の着用手順や船舶を係留するためのロープワークについて指導=写真=。生徒たちは悪戦苦闘しながらも「なかなか体験できない貴重な機会。とても勉強になったと満足げに話した。
■鹿市管工事協組 断水想定し応急復旧
鹿児島市管工事協同組合(青木英一郎理事長)は、鹿児島市水道局と合同で地震発生による断水を想定した水道施設の応急復旧訓練を行った。
参加者は、配水管などの漏水個所の修繕や給水車による飲料水の応急給水などを手際よく実施。緊急時の連携体制を改めて確認した。