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建通新聞社(中部)
2016/01/14

【三重】建築物耐震改修促進計画素案を公表 耐震化率85・4%へ 三重県

 三重県は、県内の住宅・建築物の耐震化の目標や具体的な取り組みを示した「三重県建築物耐震改修促進計画」(以下、建築促進計画)の素案を公表した。2016年度から20年度までの5年間を期間とする計画で、20年度末の住宅総数の耐震化率を現行の81・3%から85・4%に引き上げる目標と、1980年以前建築(以下、旧耐震基準)の住宅数を分母にした未耐震率について現行の63・5%を20年度末に53%に引き下げる2本立ての目標とすることなどを盛り込んだ。2月5日まで意見を募集し、最終案を取りまとめ、2月県議会常任委員会で報告する予定。
 07年3月に策定した現在の「三重県耐震改修促進計画」は、国の「建築物の耐震改修の促進に関する法律」(以下、耐促法)および国の定める基本方針に基づき07〜15年度の計画期間として定めたもので、住宅および多数の者が利用する建築物の耐震化率を15年度末までに90%とすることを目標にしていた。県下の耐震化の現状を見ると、13年度末は住宅総数が69万9400戸で耐震化率は81・3%、14年度末は70万5610戸、同81・9%となり目標に満たない状況となった。13年度の全国の耐震化率が82%であることからほぼ全国平均並みの水準となった。
 今回、現計画が15年度に最終年度を迎えること、耐促法が13年11月に改正され、新たな規制措置が規定され、耐震診断義務化対象路線の指定や耐震診断結果の報告期限を定めることができることになったことを受け、一部改定と全体の見直しを行い、次期計画を策定することになった。一部改定(耐震診断義務化対象路線の指定など)は既に手続きを終えて、15年12月に現計画に補章を追加する形で改定した。
 今回示された建築促進計画では、想定される地震と被害の状況、耐震化の現状を踏まえて住宅や官民の建築物における耐震化の目標を示した。
 住宅の耐震化の目標値は、20年度末の住宅総数を74万3700戸と想定し、耐震化率を85・4%とした。国が指針として示した20年度の耐震化率95%は努力目標と明記し、現実的な目標を実現させる中で、上位の目標に近付けるものとした。
 さらに、最も耐震化が必要となる旧耐震基準の住宅について、旧耐震基準の住宅総数に占める未耐震化率を新たな指標として設定し、13年度の旧耐震基準の住宅総数20万5900戸を比較のために基準年度とした。13年度の未耐震住宅数は13万0730戸で、未耐震率は63・5%。20年度末には、耐震化と既存住宅の減失により、未耐震住宅数は10万8600戸に減少し、基準年度に対し目標を53%とした。
 県、市町所有の建築物については、県は14年度末で100%の耐震化率となり、市町は14年度末で約97%の耐震化率となっており、20年度末に100%の目標とした。
 民間建築物については、14年度末時点で、全体で4522戸に対し、79・7%の耐震化率となっている。今回の目標では、多数が利用する建築物のうち、防災上重要な建築物(分類A・B)は871戸あり、このうち751戸が耐震化対応で約86%の耐震化率であるため、20年度末に95%の耐震化率を目標とした。
 木造住宅の耐震化支援における施策のうち、旧耐震基準住宅に対しては、耐震診断、耐震補強設計、耐震補強、耐震リフォーム、簡易耐震補強の補助制度で支援するほか、命を守るための耐震シェルター設置支援事業で耐震化などを促進する。
 民間建築物のうち防災上重要な建築物に対しては、避難所指定建築物の耐震化、医療施設、児童福祉施設、私立学校の耐震化への補助制度で支援するものとした。

提供:建通新聞社