「京都駅は非常に大事だ。京都北部を通って大阪というルートでは採算が悪くJR西日本が同意しないだろう。京都駅、大阪駅をはずすのは考えられない」―。石川県の谷本正憲知事は、4日開かれた年頭の記者会見で、北陸新幹線敦賀以西ルート問題に関して京都駅、大阪駅に停車することが経済効果の面から望ましいとの考えを示した。谷本知事は従来からルート問題について国土交通省が各ルートに関する詳細なデータ(工期、事業費など)を提示した上で与党検討委員会(西田昌司委員長)において議論すべきとのスタンスだが、京都駅停車の必要性に言及したのはこれが初めて。
北陸新幹線敦賀以西ルートを巡っては、福井県の西川一誠知事が同県小浜市や京都府亀岡市付近を通って大阪へ至る「小浜(若狭)ルート」を、滋賀県の三日月大造知事が同県米原市で東海道新幹線と合流する「米原ルート」をそれぞれ主張するほか、富山県の石井隆一知事は具体的ルートには踏み込まないものの、途中で東海道新幹線に乗り換えずに京都、大阪につなぐことを求めている。
そして京都府の山田啓二知事が5日の定例会見で、小浜ルートが支持されれば同府舞鶴市へ延伸する「舞鶴ルート」を求めていく考えを表明した。
その他の候補として挙がっているのは、琵琶湖西側を通り京都駅を経由して大阪へ至る「湖西ルート」、JR西日本が内部で検討しているとされる小浜市および京都駅を通る「JR西ルート」、与党検討委員長の西田昌司参議院議員(京都選挙区)が打ち出した「小浜―舞鶴―京都駅―大阪・天王寺―関西空港ルート」がある。
この日の会見で谷本知事は「京都駅、大阪駅をはずすことは考えられない」としたほか、2030(平成42)年度末とされる北海道新幹線札幌開業時までに北陸新幹線大阪開業を実現することが重要とし、「札幌開業前に北陸新幹線を大阪につなげるという外枠を与党検討委員会で合意しないと、どんどん議論が拡散して、やれ舞鶴へ回せとか、関西空港までつなげろとか、これまで積み上げた議論がご破算になってしまう」、「札幌開業は14年後。時間があるようで(実際は)全然ない。今年中にルートを決めないと、大阪開業が間に合わないかもしれない」と年内の政治決着の必要性を訴えた。
また、谷本知事は福井駅の先行開業論についても言及。県内の新幹線用地取得率が3割弱となっている現状を説明し、「7年(後の敦賀開業)なら、まだ用地測量に2年間の時間的余裕があるが、(5年度の)福井先行開業なら用地測量期間がほとんどなく無理だ」とスケジュール的に困難との見解も合わせて示した。