福島建設工業新聞社
2016/01/07
【福島】福島河川国道/阿武隈川堤防浸透対策5年間で20カ所46q
東北地方整備局福島河川国道事務所は、阿武隈川の堤防浸透対策(質的整備)を重点実施する。「水防災意識社会・再構築ビジョン」に基づく、「洪水を安全に流すためのハード対策」として行うもので、32年度までに20カ所、最大46・2`区間を整備し、阿武隈川上流の治水安全度の向上を図る考え。浸透対策はこれまでも計画的に進めていたため、一部対象区間では調査・設計が既に完了しており、計画初年度の28年度から工事に着手する見通し。下流側の伊達市、福島市の区間を先行させる方針だ。
再構築ビジョンは、社会資本整備審議会が昨年12月に答申した「大規模氾濫に対する減災のための治水対策のあり方」を受けて、国土交通省がまとめた。ハード対策は関東・東北豪雨を踏まえ優先的に整備が必要な区間を対象とした「洪水を安全に流すためのハード対策」と、氾濫リスクは高いが上下流バランスなどの観点から堤防整備に至らない区間で行う「危機管理型ハード対策」の2本立て。32年度までの概ね5年間で整備を完了させる。
阿武隈川の県内直轄管理区間におけるハード対策実施個所は〈下段別表〉の通り。整備延長は詳細調査の結果で変動する可能性もある。
洪水を安全に流すための対策メニューは@堤防浸透対策(ドレーン工・遮水護岸工等)Aパイピング対策(矢板工等)B流下能力対策(堤防整備等)C侵食・洗堀対策(護岸工等)。郡山市〜伊達市の計20カ所が対象で、浸透・パイピング対策に合わせて断面不足の堤防盛土を行うなど、基本的には同一個所で複数対策を行う。
浸透・パイピング対策は、24年度に行った堤防緊急点検結果に基づき、これまでも計画的に進めており、再構築ビジョンにより未対策個所を重点整備する。伊達市、福島市の一部区間では設計が完了しており、下流部の整備を先行し並行して上流部の調査、設計を進める。
危機管理型ハード対策は、決壊までの時間を引き延ばせるよう堤防構造、いわゆる「粘り強い構造」の堤防を整備する。対象となる郡山市の5・4`区間では、堤防裏法尻をブロック等で補強する工法を予定している。