福島建設工業新聞社
2016/01/05
【福島】JAEA/年度末に大熊センターの管理棟入札
経済産業省は、27年度補正予算で楢葉遠隔技術開発センター、大熊分析・研究センターの整備・運用費を含む廃炉・汚染水対策事業費156・5億円を計上した。両施設を整備・運営する日本原子力開発機構(JAEA)は、大熊分析・研究センターの施設管理棟建築工事を今年度内に入札し、28年度本格着工する。管理棟に続いて、国の認可を経て、低放射線量のガレキ類等を取り扱う第1棟、高放射線量の燃料デブリ等を扱う第2棟の順で建設を進める計画だ。
両センターは、東京電力福島第一原子力発電所(1F)の廃炉に関する技術基盤を確立するため、経済産業省が整備費として850億円を24年度補正予算で確保。JAEAに出資し、事業を進めている。
JAEAは、モックアップ試験施設の楢葉遠隔技術開発センター建設工事に26年度着工し、昨年9月に研究管理棟(S造4階建て延べ約3661平方b)が完成、同24日に一部運用を開始した。試験棟(S造2階建て延べ約6326平方b)の建屋も11月に完成し、4月の本格運用を予定している。建設地は楢葉町の楢葉南工業団地内。
研究管理棟では、事故炉をコンピューター内に再現。バーチャルリアリティシステムを用いた作業者訓練等を行う。試験棟では、内部に1F建屋内の作業環境を実物大で再現し、機器・装置の研究開発と実証を進める。
同センター関連では、S造2階建て延べ約1260平方b、同平屋約70平方bの倉庫2棟、同平屋約125平方bの車庫建設を計画。4月末着工、10月末完成を目指す。
大熊町の1F隣接地に整備する大熊分析・研究センターは、第1期施設の施設管理棟と第1棟、第2期施設の第2棟、計3棟で構成する。
施設管理棟は、PC造4階建て延べ約5000平方b規模で新築する。工事は3月までにWTO総合評価方式で入札執行する方針だ。工期は約21カ月間を見込んでいる。
放射性物質を取り扱う2棟の分析・研究棟は、国の認可が必要。低放射線量のガレキ類等を第1棟、高線量の汚染水2次廃棄物や燃料デブリ等を第2棟で取り扱う計画で、第1棟は認可が得られ次第着工する。第2棟は引き続き詳細検討する。
第1期施設の建築実施設計は、日建設計が3月末納期で進めている。同内装設備詳細設計は日立GEニュークリア・エナジー、東芝、三菱重工業の3社が行っている。第1期施設の施設管理棟は29年度開所予定で計画。分析・研究棟は認可時期によって流動的だが、第1棟は30年度、第2棟は32年度の運用開始を目指す。
同機構は今月18日、同センター敷地内除染を中心とする環境整備工事を一般競争で開札する。