石川県の谷本正憲知事は4日、年頭の記者会見を開き、この中で金沢城公園第3期整備計画のスケジュールに関して、鼠多門、鼠多門橋復元工事は17年度中に着工、21年度に完成させるとしたほか、先行する鶴の丸休憩所については16年度に着工、完成させるとした。
明治期に焼失、撤去されるまで金沢城玉泉院丸庭園と金谷出丸(かなやでまる)(現在の尾山神社)を結んでいた鼠多門、鼠多門橋の復元に関して知事は、埋蔵文化財調査が順調に進んでおり、16から17年度前半にかけて調査設計を行い、17年度中に着工したいとしたほか、▽門扉下部から屋根頂点までの高さが約12・8メートルと推定される▽金沢城3御門(石川門、河北門、橋爪門)と異なり、連続した石垣内に扉がある▽石垣の上に威容を誇る二層三層の櫓が建っている▽3御門とは異なる単体の門―であるなどの特徴を紹介した。
一方、金沢市道上への架設が計画される鼠多門橋は、藩政期には外堀に架かっていた橋長約29メートル、幅員5・5メートルの木橋で、史実に沿って復元した場合、橋桁や橋脚の位置が道路交通の支障になるとし「工夫を重ねる必要がある。外観を木橋とし、近代テクノロジーを取り入れることを検討したい」と説明。
16年度から先行着工となる鶴の丸休憩所について知事は「前面ガラス張りとすることで復元した菱櫓や五十間長屋、橋爪門のパノラマが堪能できるほか、重要文化財や復元建物、多様な石垣など情報発信の拠点となるよう案内や展示機能の工夫を凝らしたい」とした。
また、このほど発見された明治5年ごろの二の丸御殿絵図面について「いずれ史実通りに復元するとなると、貴重な絵図」とその意義を強調し、絵図により御殿の規模が約1万600平方メートルに及ぶことや、屋根部分は鉛葺き413坪、柿葺き678坪、銅葺き1326坪、瓦葺き662坪と判明したことを紹介し、「夢の実現に向けた出発点となる。新たな長期構想において二の丸御殿の総合的な調査研究に取り組む姿勢を示すことが県民の期待に応えることになる」と述べ、第3期整備計画と併行して調査研究に入る考えを明らかにした。