建通新聞社
2016/01/04
【大阪】16年着工予定の民間物件〜ホテル〜
「爆買い」「インバウンド」が流行語にもなり、観光・宿泊需要の急激な高まりを実感した2015年。大阪市内のホテルは特に高稼働・高単価の状態で、都心部の保有物件の活用に当たり、マンションでもなく、商業施設でもなく、ホテルを選択する事業者が続出した。関西初進出や新規参入する事業者もあり、16年も大阪市内を中心にホテル建設が活況を呈しそうだ。
現在計画が挙がっている中で最も規模が大きいのは、アパグループが大阪市中央区南本町に開発用地を取得(所有名義はアパマンション)した約860室の超高層ホテルだ。基本計画段階で予定している規模は、鉄骨一部鉄骨鉄筋コンクリート造地下2階地上30階建て延べ約1万5650平方b。
中央大通に面した地下鉄本町駅の18番出口に直結する好立地となり、市内最大級のランドマークホテルとして位置付ける方針だ。ことしは設計が中心で、着工は17年3月ごろ、開業は19年6月ごろを予定している。
アパグループは、中央区難波千日前にも380室規模、中央区瓦町にも160室規模のホテルの出店を計画。さらなる需要の獲得を目指して地方中核都市にも広げてホテル開発を展開しており、大阪はその中心となりそうだ。
サンケイビルは、JR西日本不動産開発、安田不動産との共同で、大阪・心斎橋に496室の(仮称)カンデオホテルズ東心斎橋の建設に着手する。規模は鉄骨造17階建て延べ1万4659平方b。カンデオ・ホスピタリティ・マネジメントが運営し、レストランや展望露天風呂なども備えた「ワンランク上のスタイリッシュホテル」を目指す。1月中旬に本格着工する。
サンケイビルは京都市内でもホテル開発用地を取得、既存建物の解体に入っており、関西圏での出店を加速させている。
京阪電鉄グループのホテル京阪は、地下鉄と京阪の北浜駅から徒歩約2分、淀屋橋駅から徒歩約5分の立地に、宿泊特化型ビジネスホテルの(仮称)ホテル京阪淀屋橋を計画。土地を所有する東洋プロパティが建設する建物を借り受ける。規模は11階建て延べ約5800平方b。客室数は210室の予定。レストランも設ける。現在進めている既存建物の解体に続き、本体工事に着手。開業は17年夏を予定している。
京阪電車の利用で京都観光への利便性が高い淀屋橋・北浜エリアはホテル用地の需要が高いと言われ、このほかにも具体化する物件があるとみられる。
大阪・本町への出店で関西圏に初進出するのは、ビューホテルブランドとして国内10カ所で直営ホテルを運営する日本ビューホテルだ。事業主となる信和が建設するホテルを1棟借り受け、宿泊特化型直営ホテルの(仮称)大阪ビューホテル本町として計画する。規模は鉄骨造19階建て。客室は170室。着工は7月初め、18年春の開業を目指す。
ベルコは、難波の旧新歌舞伎座跡地に計画している(仮称)ベルコ難波ホテルの概要を明らかにした。地下1階地上19階建て延べ2万6490平方bの規模で、6月の着工を目指している。
さらに、オリックスが此花区のユニバーサルシティエリアに新ホテルの開発を予定しているほか、プレサンスコーポレーション、日本エスコン、阪神住建、シティトラスト不動産、伸光建設など大阪本社のマンションデベロッパーもホテル開発に着手する。
貸し会議室事業などを展開する新梅田研修センターやティーケーピーは、共に大阪市福島区でホテル開発を計画。両者とも会議室利用者の一定の需要が見込めるのと梅田ターミナルに徒歩10分圏内の立地が強みだ。
また、大阪市外でもホテル誘致を強化する動きが見られる。和泉市は1億円を上限に建築費などを補助する制度を開始。泉佐野市も同様の制度を4月にスタートさせる方針で、ホテル物件の供給が進む可能性がある。
提供:建通新聞社