トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

日本工業経済新聞社(群馬)
2015/12/28

【群馬】コンベンション施設は佐藤総合計画に

県企画部は28日、コンベンション施設の基本設計業務の優先交渉者に佐藤総合計画(東京都墨田区)を選定したと発表した。年明けに契約を締結し、その後早々に基本設計に着手する。基本設計は、公募型プロポーザル方式で選定が進められ、佐藤総合計画と大谷研究室(東京都杉並区)の2者で争われたが、コスト圧縮や施設利用面、周辺住民への配慮の点で佐藤総合計画案が優位に評価された。
プロポーザルでは@建設事業費を含めたライフサイクルコストの抑制、建設工期の短縮化A周辺環境への影響を最少限に抑えるための工夫Bイベント主催者が使いやすく来場者が利用しやすい施設とするための工夫、防災拠点機能向上のための工夫C再生可能エネルギーの活用や省エネルギーなど地球環境に対する負荷低減方法、群馬県産資材の活用−の4つの技術提案が求められていた。
選定に当たり、群馬県コンベンション施設設計者選定委員会(委員長・湯沢昭前橋工科大学社会環境工学科教授)により、参加した2者に対しヒアリングが実施された。委員会は湯沢委員長のほか、松野仁・日本建築センター理事長、原田寛明・高崎経済大学名誉教授、松井淳・前橋工科大学総合デザイン工学科教授、村手聡・副知事、笠原寛・県企画部長、倉嶋敬明・県県土整備部長−の7人で構成。技術提案や実施方針などについて100点満点で評価した。優先交渉者に選定された佐藤総合計画案は83・69点、大谷研究室案は60・62点だった。
イメージが一人歩きするなどの理由で完成イメージなどは公表されなかった。
選定委員長の講評では、佐藤総合計画案について「県の基本計画の内容をよく理解した上で、県が要求している設計条件を満たしつつ、評価テーマに対する提案がなされたことが評価された。具体的には、施設をコンパクトに配置し、床面積を低減させるとともに、計画地の状況を踏まえてなるべく地下構築物のない計画とし、自然エネルギーの活用と併せて総コストの圧縮を図るといった考え方が示された。展示施設と会議施設、将来の増築予定地となる屋外展示場を隣接して配置し、増築後の搬出入動線や来場者の動線に配慮するほか、搬入車両の滞留スペースを設けるなど、施設利用面への配慮が評価を受けた。緑地帯など周辺住民の利用に配慮した提案が評価された」とした。
一方で「建設費を含めた施設のライフサイクルコストについては、設計の各段階においてしっかりとチェックをしながら設計を進めていく必要があるといった指摘があった。また、施設外の交通動線計画について、さらに検討をしていく必要があるといった指摘があった。今後、設計を進める中で具体的な検討を行い、このプロポーザルにおいて設定したテーマを実現する設計内容としていくことを期待したい」と示した。
契約締結後に基本設計に着手していくことになるが、建設コストの増大の可能性を記者に問われた県企画部は「週に1回程度は(設計者と発注者による)協議の場を設けて、県の考え方や要望といった意向を伝え、双方で設計を進めていく」と述べた。
高崎競馬場跡地に整備するコンベンション施設は、2017年度の工事着工、19年度の施設完成、20年度の開所を目指し、用地費や防災関連事業費を除く概算事業費は、約280億円を想定。基本設計費には債務負担行為を合わせて2億400万円の予算を計上している。基本設計の履行期間は来年10月31日まで。
優先交渉者に選定された佐藤総合計画は、高崎文化芸術センターの設計も手掛けている。