日本工業経済新聞社(山梨)
2015/12/18
【山梨】リニア山梨県内でも起工/南アルプストンネル
JR東海は18日、リニア中央新幹線の南アルプストンネル新設工事の山梨工区(早川町新倉)の起工式を行い、本格着工した。また、工事による環境保全措置をまとめて公表。具体的な措置として、施工ヤードの仮囲い設置、工事の平準化、低騒音・低振動型建機の採用、建設汚泥の減量、建設発生土の早川・芦安連絡道路の造成活用などに取り組む。
リニアの山梨県内の本格工事は南アルプストンネルが初。起工式では工事関係者などが無事完成を祈念した。
南アルプストンネル新設工事の山梨工区の概要は、本坑7・7q、先進坑、非常口トンネルなど。工事時間は、準備工・設備工が午前8時から午後5時まで、トンネル掘削が午前7時から翌朝午前7時まで(作業員の交代時間など含む)。
資機材・土砂の運搬は午前7時30分から午後5時まで。日曜日は休工。工事用車両は最大354台/日を見込み、南方向と北方向に分散して交通集中を回避する。
環境保全措置は、環境影響評価書で予測した結果を基に、評価書に記載した措置を現地の状況に合わせて実施する。実施方針は@措置は工事契約に盛り込み確実に実施するA仮設設備は現地の状況に合わせて設置するB元請会社から工事関係者全員に教育を行い、確実な遂行を図る―など。
主な措置は、騒音対策では、工事施工ヤードの仮囲い(高さ3m)、広河原非常口で工事進捗に応じてトンネルに防音壁を設置する。バッチャープラントは建屋を設置する計画とし、トンネル坑内の発生土運搬にベルトコンベアーを採用する。
そのほか、工事規模に合わせた建設機械の設定、工事の平準化、低騒音・低振動型建機の採用。
水環境では、工事排水の適切な処理として、施工ヤードに濁水処理設備の設置して早川または内河内川へ排水する。本線トンネル工では、事前に先進ボーリングなど最先端の探査技術で地質や地下を把握し、薬液注入を行い、覆工コンクリート、防水シートを設置して地下水への影響を低減する。排水は定期的に監視して把握。地下水低下などが見られた場合は速やかに給水設備などを確保する体制を整える。
土壌対策では、発生土の仮置場には床にコンクリートを打設し、屋根や側溝、シート覆いを設置する。
動物対策では、施工ヤードで侵入防止柵の設置、脱出できるような側溝へのスロープ設置、洗車プールの設置など。生態系関係では、施工ヤードで工事中に定期的な下狩りを実施するとともに、工事完了後は現状復旧のための緑化を行う。
景観では、広河原施工ヤードで工事完了後に植生を復元する切土法面などを緑化するほか、ヤード周囲の仮囲いをアースカラーとする。
廃棄物では、濁水処理により発生する建設汚泥は、機械式脱水処理により水と脱水ケーキに分離して汚泥の減量を図る。建設発生土の一部は、早川・芦安連絡道路の造成に活用する。
環境保全措置は、事後調査やモニタリングを行い、結果を公表する。必要な場合は追加的な措置や措置の変更を行う。