――「たぶん」「だろう」に危険がひそむ しっかり点検 年末年始――をテーマに展開する「2015年度年末年始無災害運動」が15日、全国一斉にスタート。「働く人たちが年末年始を無事故で過ごし、明るい新年を迎えることができるように」という趣旨から、厚生労働省の後援のもとに中央労働災害防止協会が主唱する全国的な運動で、来年1月15日までの1か月にわたり実施する。県内では、千葉労働局(小澤真一局長)及び各労働基準監督署、並びに建設業労働災害防止協会千葉県支部(尾頭博行支部長)らで構成する「千葉県産業安全衛生会議」(議長=小澤千葉労働局長)が主催。これに先立ち同会議では、小澤議長を先頭に、準備期間にあたる今月3日、船橋市内の「三井不動産ロジスティックパーク船橋新築工事」(施工・椛蝸ム組東京本店MFLP船橋工事事務所)の現場の「安全パトロール」を実施。同事業場の日頃の取り組み内容から、参加者は安全管理に対する多くを学んだ。
現場の「和」尊重 この日の安全パトロールは、それらの運動がより活性化されることを目的とし、県内において毎年、安全衛生管理水準が高く、他社の模範となる工事現場を選出して実施するもの。冒頭でMFLP船橋工事事務所の藤田政照所長は「現場では『和が大事である』ことを基本に、全員が協力し、業者間の垣根を越えて注意し合うような環境をつくっていく。この理念に基づいた対策で現場を進めていきたい」との考えを述べ、あいさつした。
延べ20万u規模の自走式マルチ倉庫 工事場所は船橋市浜町、全体工期は2015年2月1日から16年9月30日の約20か月。ららぽーとの駐車場とテニスコートだった建設地の準備工事として、昨年9月から今年1月末まで液状化対策工事を実施した。建築主は三井不動産潟鴻Wスティック事業部。設計・監理は椛蝸ム組一級建築士事務所。建築用途は賃貸型の自走式マルチ倉庫で、フロアごとに賃貸し、運営は三井不動産鰍ェ行う。延べ床面積は約20万u。構造・規模はO−PCa・RCS造で柱はRC造、梁がS造。柱は工場製作で現場で積み立てるPC柱。免震構造を採用し、地下の基礎部分が免震層と言われる免震ゴムを配置した層。上部は倉庫、ランプ、車路(東西)すべて含めて免震構造とし、地震災害時には揺れを軽減できる構造。地上8階建てで最高高さは58m。各フロアの東西に事務所エリアがあり、各テナントの通常の事務作業が行える。建物が大きいことから「先行工区」と「後行工区」に大きく分けて、先行工区のPC建方工事には7月1日にスタート。その後、ランプ工区と言われる北側の東西の工区の鉄骨造を進め、11月1日には後行工区がスタートした。来年9月30日の竣工に向けて現在、順調に工事は進んでいるが、一部テナント側の依頼工事などが今後発生。来年6月頃から屋上のソーラーパネルを含めた工事もスタートする。
工業化工法と見える化推進 同工事現場における安全衛生活動の取り組みとして椛蝸ム組では、@省力化工法の積極的な採用A現場の見える化B職長会活動の充実C現場入退場管理の徹底――などを掲げた。
MFLP船橋工事事務所の説明によると「省力化工法の積極的な採用」では、柱のプレキャスト化として、躯体工事をシステマチックに行うなどの「工業化工法」を採用。一番の目的は、現場での労務作業を軽減させることで、着工当時は「かなり労務がひっ迫するだろう」という社会の流れがあったことから、それらを含めた対策でもある。柱も工場で製作することから品質等も高いという利点があるという。また「細かい作業や雑労務が減り、イレギュラーな工事や突然の工事をなるべく少なく出来る。それにより、安全対策にも繋がっているのではと思う」とした。
また「外壁のプレキャスト化」「外装パネルのユニット化」「機械式足場の採用」を図ることで、在来の枠組外部足場を削減しているのが特徴。高さ60mで免震構造の建物であることに加え、海風が強い立地条件などを踏まえたもの。
「現場の見える化」としては、大林組各現場の共通事項となるが、@区画表示の徹底A高所作業車の垂れ幕による作業指示Bフロア(エリア)責任者の掲示――がある。中でも「職長会活動の充実」として、職長会と各部会(安全、施設、環境、広報)によるダブルパトロールを実施するほか、「エリアマスター」を選任し、責任感を持って管理を進める。エリアマスターの職務は、@整理整頓・不要材の片づけ指示A不安全行動の撲滅!B掃除用具の管理C消火器設置状況の確認D上記項目の是正・周知――などで、各階に正副エリアマスターなどの顔写真と職務を掲示する。
「現場入退場管理の徹底」としては、@人門管理システムによる入退場管理Aビデオによる新規入場者教育BWebカメラによる仮囲ぎわの24時間管理――を行うなどの説明が行われた。