黒部市では10月13日から新庁舎での業務がスタート。その一方で、旧黒部・宇奈月両庁舎の今後の活用策への期待や関心が高まっている。昨年6月に設立された「黒部市役所庁舎跡地活用検討委員会」(上田洋一委員長、委員11人)では、計8回の会合を重ね、具体的な活用案を議論してきた。ことし8月に提出された提言書には、「黒部庁舎跡地は、図書館を有する施設に多様性を加えた複合施設。宇奈月庁舎跡地は、宇奈月消防署を主に、観光機能と市民サービス窓口機能を有する施設に」という内容だった。
こうした中、黒部市議会12月定例会が3日開会し、堀内康男市長が提案理由説明の中で、両庁舎の跡地活用についての考え方や方向性を示した。協議・検討にあたっては▽市の財政負担や既存施設を考慮し、実現可能な活用事例を検討すること▽近隣公共施設の集約化と公共施設のあり方検討との整合性を図ること▽新庁舎と連携した中心市街地のにぎわい創出が図れること―の3点に留意し、「市民が求めている施設の機能や実現可能な面積、スケジュール、財源などを様々な観点からシミュレーションした」と経緯を説明した。
協議・検討の結果、旧黒部庁舎跡地は図書館を核とした複合施設『(仮称)黒部市民交流センター』の建設を目指すとし、現在の三日市公民館と働く婦人の家、市民会館の旧黒部庁舎周辺の3施設の機能に加え、新たに幼児・子どもが楽しめる「キッズスペース」を複合させた施設内容とした。「『人を育て、まちをつくり、知力を育てる』ことができ、これまでにない斬新な複合施設として、さらなる生涯学習、文化力の向上と市民交流および市民協働参画の推進、新庁舎と連携してのまちなかのにぎわい創出が図られる」と説明した。検討委員会からの提言書、黒部商工会議所からの要望のあった同会議所の施設への複合・入居については「引き続き慎重に協議・検討していく」としている。
旧宇奈月庁舎の跡地には、現在の宇奈月消防署を旧宇奈月庁舎新館に改修移転し、隣接して消防車両用車庫を新設、消防・防災力のさらなる向上を目指していく。
両事業の実施時期については「今後予定されている大型事業との調整を図るとともに、できるだけ有利な財源措置に努める」考えで、18年度から始まる次期総合振興計画の前期基本計画の中での実施を目標とした。