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北陸工業新聞社
2015/12/09

【福井】「よく考えた建築ほどいい」/JIA福井会建築文化講演会/北川原温氏講演「パンセ」

 日本建築家協会北陸支部福井地域会主催の「2015年建築文化講演会」(後援・北陸工業新聞社福井支局)が5日、福井市西木田の福井商工会議所ビルで開かれ、世界的に活躍する建築家の北川原温氏が「パンセ(lapense’e)」を演題に、自身の作品紹介などを通して設計に対する想いを語った。
 パンセとは、フランス語で「考える」や「思考」の意味で、「人間は考える葦である」の名言を残したパスカルの著書のタイトルにもなっている。
 氏は冒頭、「建築は考えることだと常々思っている」と語り、「よく考えた建築ほどいい」と強調した。
 影響を受けた作品は、オーストリアの思想家ウィトゲンシュタインが設計した唯一の作品「ストーンボロー邸」。同邸は、あらゆる寸法が1ミリ単位までこだわって造られており、「これを見て感動した。プロポーションの取り方が計算し尽くされており、考えに考え抜いている。考えがそのまま形になったもの」と初めて見た時の衝撃を振り返った。
 自作の「ミラノ万博日本館」は、自然の循環として森をテーマに、日本の伝統工法である木格子を構造に採用。アプローチは日本の川や棚田をイメージしたと紹介。このほか、東日本大震災時に2000人の被災者の避難場所となった「ビックパレットふくしま」、「中村キース・ヘリング美術館」設計時の想いなども語り、その斬新な発想と大胆な感性に会場は魅了された。
 きたがわら・あつし 長野県出身。東京芸術大学美術学部建築科在学中に国際コンペで優勝。日本建築学会賞や日本芸術院賞など数多くの賞を受賞。東京芸術大学教授。

キラリと光る作品12点/児童絵画コンクール表彰式

 また講演会に先立ち、第14回夏休み児童絵画コンクール優秀作品の表彰式も行われ、吉田修二郎会長から受賞者に表彰状と記念品が贈られた=写真。
 今回のテーマは「あったらいいなこんなもの」。県内の小学校から390点の応募があり、優秀作品12点を厳選。「けんちくロボット」や「にじいろ自転車」など夢のある作品が数多く揃った。
 表彰式のあいさつで吉田会長は、建築の高い文化性が国の日本芸術院においても絵画などと等しく芸術として認められていることを強調。その上で、「皆さんの作品はキラリと光っていた。楽しんで一生懸命描いているのが伝わってきた」と述べ、「アピールできるものを作れると信じている。これからも楽しみながらできることを探して下さい」と温かい言葉を贈った。

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