福島建設工業新聞社
2015/12/08
【福島】イノベーション構想の実現支援/東北版社会資本重点計画
東北ブロックにおける社会資本整備重点計画に関する有識者懇談会(座長・森杉壽芳東北大学名誉教授)は7日、仙台市の東北地方整備局で第2回会合を開き、事務局の同局がまとめた素案を協議した。東北版同計画は@現状と主要課題A目指すべき将来の姿と社会資本整備の基本戦略B社会資本整備の重点目標C計画を推進するための方策―の4章立てとする。課題や将来の姿は、並行して策定作業が進む東北圏広域地方計画と共有化し、将来像実現へ向けた6つの基本戦略、5つの重点目標を明記する考え。本県関係では特に、東京電力福島第一原子力発電所(1F)事故で影響を受けた地域の復旧・復興支援が課題とし、福島イノベーション・コースト構想におけるふくしま復興再生道路等の整備推進を盛り込む方針だ。
同計画は、9月18日に全国版が閣議決定されたことから、新潟県を含む東北ブロック計画の策定に着手。有識者や市町村意見、パブリックコメントなどを経て今年度内に決定する。
計画期間は27〜32年度の6カ年。道路、交通安全施設、鉄道、空港、港湾、航路標識、公園・緑地、下水道、河川、砂防、地すべり、急傾斜地、海岸の社会資本整備13事業と関連事業の具体的方針を示す。
地域の課題や将来像は、並行して策定作業を進めている国土の利用、整備、保全を推進するための東北圏広域地方計画と共有化する。
将来像を実現するための社会資本整備の基本戦略には@東日本大震災の被災地復興A大震災の教訓を踏まえた災害に強い圏土の形成B既存ストックの有効活用と戦略的な維持管理・更新Cコンパクト+ネットワークによる地域の維持・公共サービスの最大化D国際物流・交流により地域の成長を促すための日本海・太平洋の2面活用E豊かで美しい自然との共生と地域の伝統・文化の継承―を掲げる。
基本戦略を受けた重点目標は「震災からの復興」「産業振興の促進支援」「コンパクトな地域づくり」「自然・伝統・文化を守るインフラ整備」「戦略的維持管理・更新」の5本柱とし、プロジェクトごとに目指すべき姿と解決すべき課題、重点施策、重点施策の代表的指標、主要な取り組み、期待されるストック効果などを示す計画。
本県関連では特に、1F事故からの復興に関するインフラ整備の関与を盛り込む。ふくしま復興再生道路などの整備による福島イノベーション・コースト構想の実現支援、1F事故からの復興・再生に関する総合的施策の迅速・継続的実施、道路整備や国際物流ターミナルの整備を推進し、原子力事故からの生活・産業基盤の復旧に取り組む姿勢を強調する考えだ。
重点目標に明示する指標や具体事業は、関係機関と調整した上で記載する。年明け以降、7県の土木・企画調整担当部局の課長級、部長級会議で計画の詳細を詰め、知事と局長クラスの会合で原案を確定させる。パブリックコメントを経て成案化し、3月内の国土交通省決定を目指す。