能登町はこのほど、「分庁方式」から「本庁・支所方式」へ移行し、宇出津地区に建設する新庁舎の基本構想案を公表した。新庁舎基本構想策定委員会から旧のと鉄道宇出津駅周辺を適地とする内容の提言を受け、概要を取りまとめた。庁舎規模に5300〜5700平方メートル程度を想定しており、概算事業費には30億円を見込む。パブリックコメント(意見募集)を15日まで行う。
新庁舎は、既存施設の老朽化の改善や、将来的な行政サービスの効率化などに取り組むため、能都庁舎のある宇出津地区に本庁を置き、内浦と柳田を総合支所とする本庁・支所方式に移行するため整備される。新庁舎基本構想策定委員会(數馬嘉雄委員長)では、利便性が高いことや、津波浸水想定区域外・土砂災害警戒区域外に位置することなどを踏まえ、候補地5カ所の中から旧宇出津駅周辺を適地に選定し、11月20日に持木一茂町長に提言した。
基本構想案には▽町民に愛され、町民の多様な交流の場となる庁舎▽複合化・多機能化で地域活性化に寄与する庁舎▽人に優しい庁舎▽効率的でコンパクトな庁舎▽町民の安全を守る自然災害に強い庁舎―の5項目を基本方針に掲げた。
具体的には、町民同士が交流できるイベント空間や、金融機関、コンビニエンスストア、喫茶スペースの設置、多目的トイレ、ベビーチェア、ベビーベッドの導入などを盛り込んだ。将来の組織編成や利用目的の変更に対応できる柔軟性のある施設づくりに取り組むとともに、災害時の防災拠点としての機能を備えた建物とする。
庁舎内部には、町民の利便性を高めるための売店やテナントスペース400平方メートル程度の面積も確保する計画。敷地面積は約1万2000平方メートルで、駐車場には120台程度(来庁者、コンセールのと来客用)を予定する。旧宇出津駅周辺はほとんどが町有地であることから、用地買収の費用も少なく、造成費も1億5000万円程度で抑えられるという。財源には、合併特例債や庁舎建設基金などを充てる。
建設スケジュールによると、16年度に基本・実施設計、測量、用地取得に着手する。17年度に着工し、19年度後半の開庁を目指している。今後、パブリックコメントの結果を踏まえ、基本構想の策定(担当・計画情報研究所)を終える予定だ。
総合支所となる内浦と柳田の2庁舎については、建て替える方向で計画が進められる。