産学官連携建設業人材確保育成協議会 既存技能者の多能工化など新たな課題も 産学官連携建設業人材確保育成協議会(事務局・長崎県建設産業団体連合会)が3日に開かれ、新人研修システムを構築し、2016年度の新規採用者を対象に実施予定である事などが報告された。また建設業協会から、既存技能者を多能工や技術者として教育するための仕組みづくりの必要性を指摘する意見が出た。
協議会では本年度、▽高校生の現場実習(10〜12月に工業高校4校を対象に50現場で実施)▽建設業についての絵本の配布(県内幼稚園など714カ所)▽出前講座の開催(鉄筋、空調衛生、測量設計の3団体)▽事業者向け広報(来年1月に建設専門紙を通じて実施)―などに取り組んでいる。
さらに、厚生労働省の「建設労働者緊急育成支援事業」として(一財)建設業振興基金の長崎地方拠点が取り組む未就業者の教育訓練・就職あっせん事業≠竅A建設業振興基金が事務局を務める建設産業担い手確保・育成コンソーシアムの「地域連携ネットワーク構築支援事業」として長崎建産連が受託している新規入職者の教育訓練≠ノ対する支援・協力を進めている。
新人研修システムは、地域連携ネットワーク構築支援事業として実施するもので、現在、(公財)長崎県建設技術研究センターと協議中。これに連動する形で、建設労働者緊急育成支援事業による未就業者の教育訓練を、現在実施中の鉄筋工以外にも拡大する考えだ。
これらの取り組みは、未就業者や新規入職者を対象にしたものだが、3日の会合では既に入職している技能者に対する教育訓練の必要性を訴える意見も出た。
(一社)長崎県建設業協会の谷村隆三会長は、「(需給や価格のミスマッチなどで)専門工事業者が確保できず人手不足倒産が起きかねない」と懸念。直庸の既存技能者を育成して複数の技能を修得させたり、経験を積んだ技能者を技術者として教育するなどして自社施工能力を向上して対応する必要性を訴えた。建設業界のほかの委員からも賛同する意見が出たため、今後、業界として制度の在り方などを検討した上で、次回以降の協議会で議論することにした。
長崎工業高校 県内企業就職率が大幅増 3日の協議会ではこのほか、県立長崎工業高校の松山大治教頭が、本年度の3年生の就職希望者241名のうち、県内企業に就職が内定したのが127名(51・7%)で、昨年(33・9%)より大幅に増加したことを報告。この要因として、県内企業の高校への求人申し込みの早期化とともに▽学校での企業説明会(59社)▽企業人事担当者への説明会▽企業見学会▽業界団体との意見交換会―の実施を挙げた。協議会により昨年度から取り組んできた成果が現れた形だ。
同高では、県内就職のさらなる推進に向けて、2年生全員を対象にしたインターンシップの充実(過去最大の107社で実施)と、春休みの3年生が内定企業で実践的に就職訓練する「デュアルシステム」に取り組むことを説明した。