福井県建専連(吉田勝二会長)はこのほど、近畿地方整備局建政部の平田研一調整官を招いての第18回行政勉強会を福井市手寄のアオッサで開き、最近の専門工事業における課題について活発に意見交換した。
冒頭あいさつで、吉田会長は建設業を取り巻く現状について、「ゼネコンの業績は良いと聞くが、我々の専門工事業はまだまだ実感が湧かない状況」と危惧し、「担い手3法など法の改正は進んだが、やはり現場作業員の処遇の悪さが若手の不足や離職の要因となっており、そこら辺を根本的に見直さないといけない」と指摘した上で、「景気に左右されない安定した生活を送るためにも、社会保険の加入と法定福利費の確保を踏み台に安定賃金の確保を目指していきたい」と述べた。
これに対し平田調整官は、「昨年に改正品確法が成立し、発注協議会を通して各自治体にも趣旨や運営方針の徹底が図られているところ。我々も歩切り根絶や社会保険の徹底、発注時期の平準化を3本柱に重点的に取り組んでいる」と応えた。
続いて、平田調整官が最近の建設業をめぐる情勢について報告。国交省の16年度予算概算要求は一般会計が6兆6791億円(前年度比1・15倍)で、このうち公共事業関係費は6兆93億円(同1・16倍)となり、近畿地方整備局は1兆円弱(同1・06倍)を見込むと説明した。
社会資本整備の基本的な考え方では、(1)激甚化する気象災害、切迫する巨大地震(2)加速するインフラ老朽化(3)人口減少による地方の疲弊(4)激化する国際競争―の4つの危機に直面するなか、それらの対案として「社会資本のストック化」がテーマになるとし、北陸におけるストック効果の顕著な例として、北陸新幹線金沢開業による観光などの交流人口増大や金沢駅周辺の地価上昇を挙げた。
建設業の現状では、建設投資額は92年度の84兆円をピークに、10年度には約41兆円まで落ち込み、今年度はピーク時に比べ約42%減の48・5兆円。建設業者数(14年度末)はピーク時から約21%減の47万3000業者、建設就業者数(14年平均)も同じく約26%減の505万人とした。
これについて平田調整官は、「若年入職者が減少傾向にあるとともに、高齢化が進み、処遇改善についてもなかなか2次、3次の末端業者まで進まない状況」と説明し、各数値の減少要因については、「この10年間にダンピングがかなり蔓延ったという認識を持っている」と話した。
このほか、施工時期の平準化や歩切り撤廃など改正担い手3法の適切な運用に向けた取組、設計労務単価の状況や社会保険加入対策など担い手確保・育成に向けた取組も改めて紹介。技能労働者の地位向上に向けて、イギリスのCSCSカード(建設技能認証制度)をイメージしたシステムを検討していることも明らかにした。
その後、各専門工事団体の出席者との意見交換が行われた。(つづく)