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北陸工業新聞社
2015/11/25

【石川】海鼠壁のしっくい塗りなど体験/金沢城復元「匠の技」セミナー/石川の伝統的技術を伝える会

 金沢城の菱櫓、五十間長屋、橋爪門続櫓、河北門等の復元工事に携わった技術者集団「石川の伝統的建造技術を伝える会」(川元傳会長)の金沢城復元「匠の技」セミナーが21日、金沢城公園内で開かれ、参加者は海鼠(なまこ)壁の目地にこてを使って漆喰(しっくい)を上塗りする作業を体験するなど、高度な技術を必要する伝統的技法に触れた。
 11月の公共建築月間に合わせ毎年開催され、今回で12回目となるセミナーには約50人が参加。冒頭、石川県土木部営繕課の新村保弘課長が金沢城復元工事のこれまでの経緯や第三期整備計画の鼠多門、鼠多門橋の進捗状況、伝える会の目的などについて説明した後、「このセミナーで実際に左官の仕事を体験することで伝統工法の大変さや技術の高さを感じ取ってもらい知り合いなどに情報発信してほしい」とあいさつ。川元会長が今年5月に開催された全国植樹祭で天皇皇后両陛下が金沢城公園をご見学された際、皇后陛下からご苦労様とお声をかけていただいたエピソードを披露した上で「大変光栄であり、伝統を守り後継者を育てていくことが我々の使命だということを改めて強く感じた」と述べた。
 続いて木工事を県建築組合連合会相談役の河村松一氏、石工事を県石材組合連合会会長の林一伸氏、左官工事を県左官業組合連合会理事の大道浩氏、屋根工事を県金属屋根協同組合専務理事の内尾孝夫氏、建具工事を県建具協同組合理事長の石森良洋氏、タイル工事を県タイル煉瓦事業協同組合副理事長の原田勝氏と古谷敏夫氏がそれぞれの専門工事における工法の特徴、苦労や裏話についてパネルなどを使って紹介。このうち河村氏は一般住宅のような筋交いや火打ちを使用せず、丸太や梁など屋根裏の三角形の構造で地震の揺れを防ぐといった伝統工法の特徴を説明。材料も吉野桧など大変高価で貴重なため「ノコギリを入れるのに躊躇した」と建築当時の心内を披露。百年、二百年後の後世にまで長持ちさせるには「高い精度が求められる」と城づくりの難しさを語った。
 この後、参加者は職人に指導を受けながら、こてを使って海鼠壁の目地に漆喰を上塗りしたり、壁の構造材となる竹木舞を縄で固定する作業も体験。日常では味わえない貴重な作業に参加者は楽しみながら熱心に取り組んでいた。

hokuriku