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北陸工業新聞社
2015/11/24

【石川】サイクル型管理でコスト縮減/梯川水系整備計画案が公表/北陸整備局/水害リスク周知し減災へ

 北陸地方整備局は、梯川水系(国管理区間L=12・2キロ)で今後の河川工事や維持管理等の内容を具体的に示した「梯川水系河川整備計画」の最終案を作成し、金沢河川国道事務所ホームページ上に公表した。12年3月に策定した「梯川水系河川維持管理計画」とともに、PDCAを一連のサイクルとした「サイクル型河川管理」によって効率的・効果的に事業を実施することで、必要に応じて河川の修繕を行うなどコスト縮減に努める。
 整備計画案は、梯川水系有識者委員会(委員長・辻本哲郎名古屋大学大学院名誉教授)が計4回の会議と地域住民への意見聴取等を経て取りまとめた。今後、県知事への意見聴取および関係行政機関と協議を開始。手続き終了を持って年度内に計画が策定される見通し。対象期間は計画策定時より概ね20年間。洪水等による災害発生の防止または軽減策として、▽堤防の拡幅・築堤、河道掘削、護岸整備▽分水路の整備▽横断工作物の改築▽堤防の質的整備―などを想定する。
 河川の維持管理にあたっては新技術の活用の可能性を検討するほか、コスト縮減に努める。洪水等による災害発生の防止または軽減策に関しては河川調査・状況把握に努めるとともに、点検・河川巡視や定期的な縦横断測量調査等の実施により、堤防や護岸等の損傷等が把握された場合は必要に応じて対策を講じる。特に、樋門・樋管等の構造物周辺で沈下等が把握された場合は、大災害につながる恐れがあることから、空洞化の有無等について調査を行い、適切な補修を実施する。
 水門、排水機場、樋門・樋管の河川管理施設が洪水等の際には、必要となる機能を発揮できるよう老朽化対策を効率的に進めるため施設の状態把握に努め、必要に応じて補修・更新を行い、長寿命化を図る構え。長寿命化による機能維持が困難な施設は、具体的な対策工法について検討を行い、改築・改良を実施する。
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 梯川はこれまでに、埴田水位観測所で1998(平成10)年9月、13(平成25)年7月と計画高水位に迫る洪水が発生している。9月の関東・東北豪雨では鬼怒川の堤防が決壊し、茨城県常総市で人的被害に加え約1万1000棟が浸水するなど甚大な被害が生じている。この水害を受け、国土交通省は全国の市町村長や堤防沿いの住民の不安に応えるため「避難を促す緊急行動」を実施。このほど金沢河川国道事務所が管理する梯川と手取川で洪水に対するリスクが高い区間で沿川自治体の関係者らとともに共同点検を行い、洪水時の水防工法等について情報を共有した。今後も危険性(水害リスク)について住民の理解向上に努めるとともに、近年頻発している集中豪雨の状況や気候変動等の状況およびそれらに関する新たな知見に照らし合わせ、洪水の挙動や流域に生じる浸水等の被害発生メカニズムをできる限り詳細に検討・分析することで減災につなげる。

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