20日に開催された国の文化審議会で、登録有形文化財(建造物)の新登録が文部科学大臣に答申され、本件関連では旧北陸線トンネル群13件が新規登録された。
旧北陸線は鉄道庁によって1893年に着工し、1896年に敦賀から福井間が開業。同トンネル群は、難所の木の芽峠越えを達成するために作られた鉄道隧道で、敦賀市から南越前町にかけて13のトンネルが築かれた。
62年の現北陸線開通後に廃線となり、道路トンネルに転用、現在も11のトンネルが連続して現存。その他、敦賀駅から今庄駅の旧北陸線には、築堤や橋梁、暗渠などの当時の土木構造物が多く残っており、これらの遺構をまとめて登録する。
▽樫曲トンネル
旧北陸線最初のトンネル。内部と坑門とその意匠まで全てに煉瓦を使用。延長87メートル。
▽葉原トンネル
岩盤地質で難工事だった。坑口上部を左右に長く張り出す堂々とした構え。延長979メートル。
▽鮒ヶ谷トンネル
登録された中で最も短い延長64メートル。
▽曽路地谷トンネル
緩やかに湾曲する延長401メートル。
▽第一観音寺トンネル
坑門はほぼ左右対称、石の縁を削り取る江戸切仕上げの丁寧な造り。延長82メートル。
▽第二観音寺トンネル
緩やかに湾曲し、第一観音寺と同様にほぼ左右対称の坑門と江戸切仕上げの造りを持つ。延長310メートル。
▽曲谷トンネル
緩やかに湾曲する。江戸切仕上げ。延長260メートル。
▽芦谷トンネル
直線状のトンネルで江戸切仕上げ。延長223メートル。
▽伊良谷トンネル
内部・坑門ともレンガ造だが、坑門の意匠は切石となっている。延長467メートル。
▽山中トンネル
我が国有数の規模を誇る鉄道隧道で、難工事の末に完成。延長1170メートルと旧北陸線トンネル群では最長。
▽湯尾トンネル
敦賀から福井間の最後のトンネル。坑門は江戸切仕上げ、北側は坑門上部を左右に長く張り出した堂々とした構え。延長368メートル。
▽罠山谷暗渠
罠山谷という大きな谷川を築堤下に通すために作られた。急勾配の暗渠で旧北陸線で最長規模。高さ約17メートルの縦溝が付き、現在も砂防指定地・竹鼻川の施設として機能している。延長46メートル。
▽旧北陸線山中ロックシェッド
プレストレストコンクリート造の落石覆工で、53年に造られた。我が国最初期のPC造構造物であり、明治の北陸線建設以降も最先端の技術が取り入れられたことを示すもの。延長65メートル。