高知県と高知市は11月17日、合同の南海トラフ地震対策連携会議を開き、2015年度上半期の取り組み状況、下半期の取り組みと、同日時点で16年度予算に要望する点などについて報告、意見交換した。主なハード整備については、長期浸水対策や学校の耐震化を県市が引き続き推進する意向を示し、このうち新規事業として、市が農地排水機場の耐震補強、斎場の施設整備、横浜小学校体育館改築の予算を要求していることを報告した。
津波避難対策の推進では、避難所の確保に向け、県は各圏域での広域避難について合意形成を図る。下半期に県内それぞれの圏域内で協定を締結する予定で、旅館やホテルなどの耐震化の取り組みを促進するためワーキンググループによる検討会を開催する。16年度は各圏域の検討結果を踏まえ、圏域レベルで広域調整の検討を行う。また、地域集会所耐震化事業補助金を16年度も継続する予定で、自治会などが所有する集会所や公民館の耐震改修工事を支援する。
長期浸水(止水・排水)対策では、16年度に県は地震・高潮対策河川事業で国分川、下田川などで堤防の耐震対策を継続する。排水機場では本江田川、鹿児川排水機場の耐水化、鹿児第2排水機場の耐震・耐水化を実施し、県管理のすべての排水機場で耐震・耐水化対策を完了する。港湾海岸高潮対策事業では、若松町工区で耐震対策を完了し、新田町工区で調査設計を実施する予定。
市は、16年度からの新規事業として農地排水機場の耐震補強の予算を要求している。農地排水機場の耐震補強は、当初基幹ストックマネジメント事業で実施予定だったが、老朽化対策工事を優先するため、他事業による早期着手を検討し、農村地域防災減災事業で実施することとした。このほか16年度に予算要求している事業は、水再生センター管理棟補強設計、水再生センターポンプ棟と津波浸水区域内雨水ポンプ場の津波等診断、中部合流幹線耐震補強工事、北街分区幹線耐震補強工事など。
遺体対応については、市が斎場の施設改修に向けた実施計画の策定を年度内に完了する。16年度は新規で火葬炉や関連施設の増改築に着手する予定。
公立学校の耐震化については、県が16年度に9市町村26事業で耐震化予定であることを示した。市は、16年度に要求予定だった泉野小、一宮小、秦小の体育館耐震補強について、国補助の内示があり12月補正予算に前倒し計上する予定であることを報告。また16年度の新規事業で横浜小学校体育館を改築する。
県市が合同で整備する高知一宮団地については、16年度に造成、道路、緑地・広場、調整池などの工事費や用地取得費などを計上する予定。
火災に備えるための事業については、県が住宅耐震化、コンクリートブロック塀耐震対策、老朽住宅除却事業への補助を引き続き進める。市は、16年度予算要求として、下島、中須賀土地区画整理事業の換地設計、用地先行買収と、旭駅周辺地区住宅市街地総合整備事業の都市再生住宅(南棟)建設、用地先行買収を挙げている。このほか、新規事業として地震火災対策計画策定のコンサル委託費を計上する予定。
提供:建通新聞社