袖ケ浦市は、市役所庁舎の整備で来年度から庁舎全体の基本設計に着手する予定。基本設計は2016〜17年度の2か年で実施。新館の耐震補強・大規模改修、旧庁舎及び議場棟の建て替えを含めた概算総事業費、事業手法、事業スケジュールについてまとめる。また、市民の意見を聞くため、市民検討委員会の設置も併せて検討していく。昨年度からの2か年で実施した庁舎新館耐震補強設計の結果を見て判断した。
同市では11年3月に「袖ケ浦市庁舎整備基本計画」をまとめ、旧庁舎及び議場棟は敷地北側の駐車場に建て替え、庁舎新館は耐震補強等改修工事を実施する方針とした。このうち新館については、施設を利用しながら耐震補強を実施。その後、大規模改修工事を行う方針として、昨年度で耐震補強設計を榎本建築設計事務所(千葉市中央区長洲2―8―5)に委託した。その結果、施設を利用しながらの補強は難しく、事業を効率的に進めるうえでも、耐震補強と大規模改修を一体として実施するほうが事業の効率化を図れることが判明した。このため、耐震補強、大規模改修、建て替えについて、庁舎全体を対象とした基本設計を行い、付帯施設を含めた全体事業費や事業手法、事業スケジュールを検討することになった。
同市の庁舎は1970年6月竣工の旧庁舎及び議場棟と80年7月竣工の新館が一体構造となっている。施設はいずれも新耐震基準以前の建物のため、95年度に「旧庁舎耐震診断」を実施し、07年度に「新庁舎耐震診断・新庁舎・旧庁舎改修調査」を行った。この検討結果をもとに、庁舎改修検討委員会を組織して検討を行い、11年3月に「袖ケ浦市庁舎整備基本計画」をまとめた。
基本計画では整備手法について、全面建て替え(旧庁舎及び新庁舎の建て替え)、全面改修(旧庁舎及び新庁舎の補強・改修)、旧庁舎建て替え・新庁舎改修(旧庁舎の建て替え、新庁舎の補強・改修)の3パターンについて概算工事費の比較検討を行い、旧庁舎建て替え・新庁舎改修が最も有利とした。これをもとに、さらに敷地南側の既存新庁舎を一体で建て替える案や、敷地南側に既存新庁舎と別棟で建て替える案など4案を検討。建て替え庁舎と既存新庁舎を接続して一体的に利用できる、既存庁舎北側駐車場に新庁舎を整備する案を採用。
庁舎の規模については、総務省の地方債算定基準や現庁舎をもとにした要望を積み上げ、他市事例をもとに検証を行い、面積を約1万〜1万1000uと算出。既存新庁舎は新耐震基準以前の建物のため、既存新庁舎に接続して建て替えを行う場合には、建築基準法の規定により増築面積に上限が課せられ、既存庁舎面積約8908・47uの2分の1の約4454・23uを建て替え可能面積とした。これに既存新庁舎の面積6196・88uを足して、庁舎の上限面積を1万651・11uと設定した。
既存庁舎の規模は、新館がSRC造地下1階地上7階建て延べ6196・88u、旧館・議場棟がRC造3階建て延べ2711・59u。既存建物は、ほかにRC造延べ1164・33uの保健センター、S造延べ217・50uの車庫、S造延べ474・99uの書庫などがある。敷地面積は約2万5160u。旧館及び議場棟は倉形建設、新館は東急建設が施工(設備一括)。設計はすべて榎本建築設計事務所が担当。