北近畿におけるLNG(液化天然ガス)パイプライン整備やLNG受入基地整備について検討してきた北近畿エネルギーセキュリティ・インフラ整備研究会(委員長・内藤克彦京都大学大学院経済学研究科特任教授)は17日、研究会の提言の中間案をまとめた。
同研究会は京都府と兵庫県が共同で9月に設置。これまでの検討では、京都舞鶴港から兵庫県三田市付近に至るルートにパイプラインを整備することを想定し、高速道路(舞鶴若狭道)沿いに敷設するルートAで「842億円(750o)、1010億円(900o)」、国道・府道沿いに敷設するルートBで「910億円(750o)、1091億円(900o)」と試算するなどしている。
今回まとめた中間案によると、京都舞鶴港と三田を結ぶ幹線パイプラインを整備ルートの一つとして国の計画に位置づけするよう提案。経費削減、工費短縮、維持管理の容易さ等を考慮してパイプラインの整備は高速道路の活用が有望とし、高速道路利用に向け、占用に係る規制緩和や国の公共事業としての整備等の検討も必要とした。
LNG基地は京都舞鶴港への整備が有望とした。9月にエネルギー資源に関する協力で覚書を締結した京都府と米国アラスカ州はアラスカ産LNGの受入基地整備に向け情報交換を進めており、京都舞鶴港での整備に向けた国レベルの計画への位置づけを提案。このほか、ガス関連産業の振興の必要性、国のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギー比率を実現するため調整電源としてのLNG火力発電所の整備が鍵などとした。
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京都府は、日本海沖で賦存が確認されているメタンハイドレートをはじめとした海洋エネルギー資源の開発促進を図るため、国内外の海洋エネルギー資源開発の動向と現状、課題について調査を始める。このほど「京都府日本海沖海洋エネルギー資源開発に係る調査等業務」についてプロポーザル方式で募集を開始した。12月3日まで提案を受け付ける。委託金額は500万円。
また京都府は28年度政府予算等への重点要望の中で、日本海側におけるエネルギー供給態勢の整備について「リダンダンシー確保の観点から、ガスパイプラインの広域的な整備構想を策定する際には北近畿と京阪神大都市圏を結ぶルートを位置づけるとともに、日本海側のハブとなる京都舞鶴港等におけるLNG受入基地の整備を促進していただきたい」「日本海側に多く埋蔵するとされる表層型メタンハイドレートについて、商業生産の早期実現を図るため、採掘の技術開発を一層促進していただきたい」と要望している。