嵐山地区(京都府)にある桂川6号井堰の撤去について、最適な工法や工程を検討してきた有識者らによる桂川嵐山地区河川整備計画検討委員会(委員長・中川博次京都大学名誉教授)の第6回会合が11月17日に開かれ、1カ年の工期で全撤去する案が了承された。また、撤去に伴い河床が低下することが予測されるため、河床の低下対策(根固め工)を併せて行うとした。今後は、撤去工事と低下対策工事を一体的に行う方向で、2016年10月に左岸側からの着工を目指す。
6号井堰は、嵐山の渡月橋の下流に位置。13年度の台風18号の被災後、河床の堆積土砂を減らし洪水リスクを下げることを目的に、2カ年を掛けて片川ずつ撤去する方法と1カ年で全撤去する方法を比較検討してきた。
1カ年の全撤去案は、▽施工期間中の河岸被災リスク回避▽工期短縮―の観点を評価。さらに早期に安全度を向上させるため、河床低下対策と同一工事で完了させる工程が示された。工事発注が一括になるかどうかは今後の検討となる。
河床対策工については根固め工を採用。既存施設を撤去した後、自然石を用いた根固めを設置する。
また、対策範囲内にある渡月橋部については、6号井堰の撤去に伴い最大1・7b程度の河床低下が見込まれ、護床増設が必要とされた。
詳細設計は建設技術研究所(大阪市中央区)が一括して作成中。
会合で委員らは、護岸の根固め工では、地形に応じた材料を使用することや、渡月橋を増設する場合に護床の材料を目立たない色にすることなどを提案した。
桂川では台風18号の被災後、緊急対策特定区間を設定。河川整備計画を一部前倒しし、5カ年間の治水対策を実施中。このうち嵐山地区は国内有数の観光地でもあり、国土交通省と地元自治体(京都府、京都市)の3者が共同で、景観や環境の視点を踏まえ撤去方法などの検討を深めてきた。
提供:建通新聞社