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日本工業経済新聞社(山梨)
2015/11/18

【山梨】導入可能な高度医療施設探る/県が検討委員会

 県は、有識者による「高度医療のあり方検討委員会」を発足し、第1回会合を12日に甲府市内で開催した。県では、委員会での意見や別途行っている高度医療に関する調査を基に、本県にどのような高度医療施設が導入可能かを探っていく。
 県によると、がんは本県の全死亡者数の第1位で、がん検診受診率も全国で上位となっている(2013年)。がん診断連携拠点病院は中北医療圏に集中し、空白となっている峡東医療圏は山梨厚生病院を地域がん診療病院として整備。峡南医療圏は中北医療圏がカバーしている。
 会合では、県が全国の重粒子線治療などの状況を説明。重粒子線治療は全国で4カ所稼働しており、19年度までにさらに4カ所が稼働の予定。建設費は120億円から160億円となっている。
 陽子線治療施設については、全国で稼働しているのは10カ所。さらに6カ所が稼働予定となっている。建設費は50億円から95億円。
 さらに、最先端の治療法として、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)への取り組みも紹介。全国で3グループが研究を進めており、そのうち大阪医科大学に共同利用型の医療拠点施設「(仮称)関西BNCT医療研究センター」が設立されることになっている。建設費は約45億円。
 また、千葉県にある放射線医学総合研究所について、重粒子線治療装置の小型化に向けた研究開発を行っていることを紹介した。
 一方、県では、本県の高度医療について医療機器や医療設備などを把握する調査を実施。どのような高度医療が本県に導入可能かを、患者需要を予測した収支シミュレーション分析をシンクタンクへ委託して調査している。調査では、本県の3大死因であるがん、心疾患、脳血管疾患に加え、小児医療や高齢者医療についての高度医療の導入可能性も調べている。
 県では、これらの調査結果を検討委員会に諮るとともに、委員会での議論を経て、本県に導入可能な高度医療施設の方向性を探っていく。