香川県国土強靭化地域計画推進本部(本部長・浜田恵造県知事)の第3回会合が9日、県庁内で開かれ、有識者会議など、これまでの議論を踏まえた同地域計画最終案を報告した。今後、11月定例県議会に提案した上で成案として取りまとめる。会合後、浜田本部長は今回の強靭化地域計画案について「各部局が取り組む計画の上位に位置付けるアンブレラ計画として絶対に避けなければならない事態を検証し、それに対する備えを盛り込んだ」。その上で「起きてはならない最悪の事象を列挙し、南海トラフ巨大地震で全国から最大勢力の応援部隊を可能な限り早く的確に投入する重点受援県10県の一つ。加えて四国の中では支援の拠点になる特徴を反映させた」と述べた。
「香川県国土強靭化地域計画(案)」は、国土強靭化に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るために、県における国土強靭化に係る他の計画等の指針となるよう全体を統括するアンブレラ計画。このため、同強靭化地域計画に示された指針に基づき、必要に応じ地域防災計画等の見直しを行う。国土強靭化の推進では大規模広域災害時に「公助の限界」が明らかになった東日本大震災等の教訓を踏まえ、行政だけでなく、県民、民間事業者やNPOなどが適切に連携しつつ、役割分担し対策に取り組む。
計画に盛り込むべき本県の特徴として、▽四国の防災拠点としての機能確保▽全国一高密度に分布するため池の防災・減災対策▽島しょ部等における大規模災害対策を挙げ、脆弱(ぜいじゃく)性の評価で県の特性を考慮した九つの「事前に備えるべき目標」と33の「起きてはならない最悪の事態」を設定。「起きてはならない最悪の事態」を回避するための関連施策を横断的に整理。脆弱性を総合的に分析評価し、その評価結果を「行政機能/警察・消防等」、「住宅・都市」など11の個別施策分野と「地域防災力の強化」や「老朽化対策」など4の横断的分野ごとの計15分野に整理した。
特に限られた資源で効率的・効果的に地域強靭化計画を推進するため、「人命の保護」を最優先に県の特徴も踏まえて13の重点化プログラムを選定。回避すべき起きてはならない最悪の事態と、回避するための施策の重要業績指標を示した。
重点化プログラムのうち、例えば、回避すべき起きてはならない最悪の事態として、「建物・交通施設等の複合的・大規模倒壊や住宅密集地における火災による死傷者の発生」では▽民間住宅耐震対策支援事業による耐震診断・耐震改修の戸数で耐震診断1051戸(2014年度)を2800戸(20年度)▽耐震改修を334戸(14年度)から900戸(20年度)などとする重要業績指標を掲げた。
「広域にわたる大規模津波等による多数の死者の発生」に対しては▽地震・津波対策海岸堤防等整備事業のT期計画延長に対する整備率を14年度の0%から20年度に66%まで引き上げる指標を示した。また自主防災組織活動カバー率を13年度の80・8%から20年度は100%とする指標を盛り込んだ。
提供:建通新聞社