建通新聞社(東京)
2015/11/11
【東京】都 南武線矢川〜立川間立体化で事業検討
東京都建設局は、JR南武線矢川〜立川駅付近の鉄道立体化に向けた取り組みの一環として、事業を実施した際に考えられる費用便益の分析を始める。移動時間の短縮と走行経費の減少、交通事故の減少の観点から費用対効果を算出し、事業化の検討に役立てる。地元市や鉄道事業者との協議も並行して進めていく方針だ。
JR南武線では段階的に立体交差化事業を進めており、都内では稲田堤駅〜府中本町駅間の延長約4・3`区間で連続立体交差(高架化)事業を実施している。この区間に続いて立体化を検討する矢川駅(国立市)〜立川駅(立川市)付近は、都が「踏切対策基本方針」で検討対象に位置付けている区間。
途中に西国立駅を挟む両駅間の延長は約2・5`で、矢川通りやさくら通り、立川南通りといった幹線道路の他、中学校や大学といった施設の周辺にも踏み切りがあり、鉄道による地域の分断や安全の確保、狭く入り組んだ道路などへの対応が求められている。地元市でも、利用しやすく安全な駅前環境の改善や、利便性の高い商店街の形成といったまちづくりを南武線の立体化に併せて進めていきたい考えだ。
事業化に当たっては、国や都が策定しているマニュアルに沿って費用便益を分析し、効果を明確にする必要があるため、12月3日の希望制指名競争入札を経て「鉄道立体化に関する事業化検討業務」を委託。現況と将来の交通ネットワークを踏まえた交通量の推計・分析を行った上で、国のマニュアルに基づき▽移動時間短縮▽走行経費減少▽交通事故減少―の三つの便益を計測し、事業全体の便益を算定。都が設定する概算事業費を基に費用対効果を探る。