国土交通省土佐国道事務所は10月29日、高知南国道路のなんこく南IC付近で発生した度重なる法面変状について、学識者らによる検討委員会を開催し、対策工法を決定した。今後、施工業者との設計変更手続きに入る。
変状が起こったのは、なんこく南ICの上り車線側切土法面。供用前の昨年8月、台風による豪雨で変状が発生したため、切土勾配を緩くするなどの対策を行った。その後、ことし7月に入って、梅雨による降雨により再び大きな変状が発生し、応急対策を施すまで、通行止めになる時間があった。そのため、現場で詳細な調査を行った結果、砂岩でありながら吸水すると著しく強度が低下する物質、膨潤性クロライトを含んだ土質成分であることが判明した。膨張性鉱物は、この地域の地質としては特異な地質である。
このため、同事務所では複数の対策工法を検討、経済性や施工性などを考慮し、法面にアンカーを打ち込み強度を確保するとともに地下水の排水対策を実施する案を検討委員会に提示し、了承を得た。
決定した対策工の概要は、切土の勾配を従来の1:1・4から1:1・8と緩くし、法枠工やアンカー工、鉄筋挿入工で崩壊や滑りを抑える。地下水の排水対策としては、横ボーリング工を施工する。「緩やかな法面にこうした対策を施工することは極めてまれな事例」(同事務所)だという。
これらの対策工は、3月12日に入札し、青葉工業が落札した「住吉野法面対策工事」の中で行われる。対策工が決まったことで設計変更を行う。
提供:建通新聞社