梯川水系改修促進期成同盟会(会長・和田愼司小松市長)は、このほど白山市内で開催された「15年度北陸直轄河川治水期成同盟会連合会石川県意見交換会」で、能美大橋と舟場橋架替えなどを北陸地方整備局に要望した。
要望書によると、小松天満宮周辺で工事が進む分水路・輪中堤について、重要文化財の保全とともに川づくり、まちづくりなどが一体となり、河川改修と文化財の調和が取れた整備促進を求めた。さらに、梯川改修事業に伴い、国道8号付近に架かる能美大橋と舟場橋の架替えが必要になるとし、2橋の架替えは多額の費用を要するが、小松市として早期の工事着手に向け地元調整を行うなど最大限協力する意向を示した。
これらの要望に対して金澤文彦金沢河川国道事務所長は、小松天満宮の分水路について、16年度中に通水を行う考えを示した。能美大橋と舟場橋の架替えは「幅員をどうするか道路管理者である小松市の意向も踏まえて考えたい」とした。
能美大橋(1964年架設、幅員5・5メートル)は国道と幹線市道を結ぶ重要な役割を担い、舟場橋(1970年架設、幅員3メートル)は特に農耕車通行や通学路に利用される。ともに老朽化に加え幅員狭小により円滑な交通に支障が生じている。なお、2橋架替えの予備設計は金沢河川国道事務所が「H24小松市道橋架替予備設計業務」として大日本コンサルタントに委託している。
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梯川は1973年に一級河川の指定を受けて以来、国の直轄事業により引堤方式による抜本的改修が進む。一方で、最近の気候変動の影響等による集中豪雨により、異常出水が増加傾向にある。13年7月には加賀地方を中心に発生した豪雨により、梯川において観測史上最高水位を更新し、小松市全人口の約3割にあたる1万3000人に避難指示が出たのは記憶に新しい。
北陸地方整備局では避難勧告の発令等に着目したタイムライン(事前防災行動計画)を小松市(梯川)、能美市(手取川)と策定している。金沢河川国道事務所、自治体、住民等が連携し、予め予想できる台風や豪雨などによる水害に備える。9月に発生した関東・東北豪雨などの大規模水災害を受け、平常時から地方自治体や関係機関等が共通の時間軸(タイムライン)に沿った具体的な対応を協議するとともに、防災行動計画を策定して災害時に実践することが今後重要となりそうだ。