県は「千葉県人口ビジョン」及び「千葉県地方創生『総合戦略』」を策定し、先月30日付で公表した。計画の期間は2015〜19年度の5か年。総合戦略は、県の総合計画で目指す「くらし満足度日本一」の実現に向けた取り組みを加速させ、次期総合計画へ施策を展開することで、急激な人口減少の歯止めと地域経済の活性化を図る。
総合戦略は、地方創生の実現を目指す「東京オリンピック・パラリンピックを契機とした世界中から人々がやってくるCHIBA≠テくり」(総合戦略T)と、市町村と目標を共有する「地方創生の実現に向けた千葉づくり」(総合戦略U)の2つの柱で構成。
総合戦略Tは、「2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けた千葉県戦略」を戦略に位置付け、地方創生の実現に向けて@大会の成功・開催効果の全県への波及Aキャンプ・国際大会・MICEの誘致B成田空港の利便性向上、交通ネットワーク・アクセスの強化Cバリアフリー化の促進D魅力ある観光地づくりE外国人受入体制の整備F国際交流の促進G戦略的な千葉の魅力発信――の8つを柱に施策を推進。
総合戦略Uは、@一人ひとりの働きたい≠ェかなう千葉づくりA国内外の多くの人々が集う*」力ある千葉づくりBそれぞれの結婚・出産・子育ての希望≠ェかなう千葉づくりC安全・安心なくらし≠ェかなう千葉づくり――の4つを基本目標に設定し、施策を展開する。
総合戦略Tでは、幕張メッセの施設改修及び競技会場周辺の環境整備、キャンプ受入体制の整備を進めるとともに、世界選手権などのプレ大会を含めたキャンプ及び国際大会の誘致を推進し、MICE誘致を積極的に進めることで、地域経済の活性化・国際ブランドイメージの構築を図る。また、空港から県内外へのアクセス強化を図るため、空港と道路アクセスの強化や空港アクセスを充実させ、交通ネットワークを強化。県を訪れる誰もがスムーズに移動し、快適に滞在できるよう、競技施設や旅客施設等について、利用者の視点に立った施設の整備を進め、施設のバリアフリー化を図る。このほか、観光地の受け入れ環境を整備。観光地のトイレ整備や美化を促進する。
総合戦略Uでは、成田空港・アクアライン・圏央道等を活用した企業誘致、茂原にいはる・袖ケ浦椎の森の2工業団地の整備、大型船舶に対応した耐震岸壁の整備、新エネルギー等の利活用・導入促進、京葉臨海コンビナートの生産性向上や事業環境の改善、高規格幹線道路等の整備促進、国道・県道のバイパス・現道拡幅等の整備推進などを進める。
一方、県の人口については、国立社会保障・人口問題研究所の将来推計から東日本大震災の影響などを加味し一部再計算を行った推計をもとに、2060年の県の総人口を推計。それによると、60年の人口は10年からの50年間で約188万人(30・3%)減少し、433・5万人になるとした。ただし、15年以降に転出者のうちアンケート等で千葉県に「とても住みやすい」と思う人が戻ってくるとした場合には約541万人、同じく「とても住みたい」または「やや住みたい」と思う人が戻ってくるとした場合には約576万人になるとし、急激な人口減少に歯止めがかかる可能性があるとした。