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北陸工業新聞社
2015/11/06

【石川】伝統的な加賀建築を再現/「界加賀」が来月10日リブランド/能登への進出「ご縁があれば」/星野リゾート

 星野リゾート(東京)が増改修を進めている加賀市山代温泉の旅館「界 加賀」は、12月10日にリニューアルオープンを控え、準備が最終段階に入っている。伝統的な加賀建築をそのまま受け継いだ和テイストの玄関がこのほど姿を現し、観光客らの目を引いている。
 同社が県内で唯一運営する旅館「界 加賀」は、山代温泉古総湯に近接する。加賀藩主・前田利常公や美食家・北大路魯山人などに愛された老舗旅館「白銀屋」を全面改装し、再オープンするもの。
 国の登録有形文化財だった(現在、再申請中)前面の門構えを修繕し、趣のある建築様式を再現した。昔の面影を残す玄関の背後にそびえ立つ客室棟は、RC造8階建て延べ5484平方メートル規模で建て替えを行った。建築設計は今村幹建築設計事務所(東京都目黒区)。設備設計はハルス建築環境設計(沖縄県那覇市)。施工は清水建設が担当。
 星野リゾート広報によると、高級温泉旅館ブランドの「界」は地域性を重んじており、「界 加賀」については「伝統工芸を取り入れ、モダンにアレンジした」という。全室にローベッドとソファーを配置するとともに、加賀水引や加賀友禅を散りばめた。客室数は従来の倍の48室となり、このうち露天風呂付きの部屋は18室を備える。料金は2万8000円から。
 同社は、夏にANAクラウンプラザホテル金沢(金沢市昭和町)を取得し、オーナー企業となった。北陸の温泉街では、湯快リゾート(京都市)など県外資本による旅館再生ビジネスが相次いでおり、誘客効果も見られる。県内には加賀のほか、能登にも有数の温泉街があり、新たな進出について星野リゾートは「今のところ具体的な計画はないが、ご縁があれば」(広報)としている。
 北陸新幹線金沢開業による観光客などの需要増を狙い、満を持してのリブランドとなる「界 加賀」。ある地元旅館は「利用客にとって色々な選択肢ができるのは良いこと」としており、温泉街のほか、地域経済への波及効果にも期待が寄せられるが、県外資本の再開業で、山代温泉では宿泊客の獲得激化に拍車がかかるだろう。

hokuriku