国土交通省山鳥坂ダム工事事務所は、鹿野川ダムのトンネル洪水吐新設に伴う呑口立坑躯体工と吐口ゲート室躯体工を「トンネル洪水吐新設その2」として2015年内に発注し、年度内に入札・契約を済ませる。工事は15・16年度の2カ年。建設中のトンネル洪水吐工の取水箇所と放出箇所に当たり、それぞれゲートを設置する箇所の躯体工。工事発注規模は6億円以上15億円未満でWTO対象工事となる。
躯体工の入札手続きは、トンネル(延長457b)が開通する16年3月31日以降、引き続きトンネル洪水吐整備に掛かれるように進める方針。躯体工が完成すればトンネル洪水吐の残り工事は、呑口側の流入水路(延長47b、幅11・5b)、吐口側の減勢工のみとなる。
両躯体工の内部には、それぞれゲートが設置され、呑口立坑内にはローラーゲート1門(幅9b×高さ19・2b)を設置。ゲートは豊国工業で製作中。
吐口ゲート室内には主ゲートとして鋼製ラジアルゲート2門(幅4・2b×高さ7・5b×2門)と副ゲートとしてローラーゲート2門(幅4・2b×高さ8・4b×2門)を設置する。ゲートはIHIインフラシステムで組み立て中。
トンネル洪水吐は、ダムの貯水池と下流の河川をトンネル(延長457b)でつなぐ放水施設。近年建設されたダムにはダム下部に放流ゲートがあるが、1959年に建設された鹿野川ダムには設置されていない。
同ダムでは洪水調節容量の見直しにより、通常時のダム湖水位を低く保ち、出水時の貯留容量(洪水調節容量)を1・4倍に増加させるとともに、放流水位を低くする計画に変更。それに伴い現在の放流ゲートの位置(高さ)では、放流の効率的な運用ができないため、トンネル洪水吐を建設することとなった。
鹿野川ダムは堤高61b、堤頂長168bの重力式コンクリートダム。場所は大洲市山鳥坂。06年度から鹿野川ダム改造事業に着手しており、トンネル洪水吐のほか、ダム湖の水質改善を図るための選択取水設備施設、曝気循環装置5カ所なども整備している。改造事業の総事業費は約427億円。
提供:建通新聞社