国土交通省四国地方整備局と高知県は、仁淀川水系河川整備計画の変更原案を公表した。主な変更内容は、日下川、宇治川の内水対策の追加、波介川導流堤の浸透対策の追加、日高村江尻箇所でのかわまちづくり整備の追加など。10月29日に開催された仁淀川流域学識者会議で出された意見や、パブリックコメントによる流域住民の意見を反映させながら、最終の計画の検討を進める。
おおむね30年間の河川整備などの内容を示した仁淀川水系河川整備計画は2013年12月20日に策定された。その後、14年8月に相次いで襲来した台風による豪雨で、特に日下川、宇治川で甚大な被害が発生した。そこで整備計画の点検を行い、仁淀川流域学識者会議で整備計画の変更が必要との意見があったため、整備計画の変更原案を策定した。
日下川、宇治川の内水対策については、床上浸水対策特別緊急事業等に着手している。日下川では新規放水路の整備などを実施、日下川から仁淀川まで延長5000b程度、直径約7bの馬蹄型の放水トンネルを新設する計画。宇治川では、既設の宇治川排水機場に毎秒12dのポンプを増設する。これらの国直轄事業のほか、県、いの町、日高村の事業も含め、14年8月の台風12号による床上浸水被害の解消を目指す。
10月28日の仁淀川流域学識者会議では、これらの事業の進捗状況について説明があった。日下川では、国土交通省が新規放水路整備に向けた地元説明会を終えて、ボーリング調査、弾性波調査に着手、県が河川改修に向け地質調査・測量、護岸詳細設計を実施中、日高村が局所的に低い家屋への対策として浸水防止壁や周囲堤などの箇所別の計画検討調査を実施中。宇治川では、国土交通省が宇治川排水機場増設に向けた詳細設計、ボーリング調査を実施中、県が河川改修に向け地質調査が完了し、橋梁と護岸詳細設計を実施中、いの町が公共下水道の変更手続きに着手し、新たな建築物の居室の床の高さを規制する条例制定に向け国と連携し検討中と報告された。
また、波介川導流堤では、14年8月の台風11号で堤防漏水が土佐市の用石箇所で発生した。延長2`の堤防で対策が必要となっており、安全性確保に向けた浸透対策を追加する。
仁淀川の日高村江尻箇所は、14年3月に「かわまちづくり」に登録、水辺空間の創出を通じ、日高村の活性化、地域振興を目的に整備される。そのため、整備項目として内容を追加する。
このほか、整備の進捗状況の更新、新しい知見や統計データなどの時点更新などが盛り込まれている。
提供:建通新聞社